2026年度診療報酬改定の動向
在宅医療の方向性を紐解いていきます。
包括型訪問看護療養費の新設
高齢者住まい等への頻回訪問を包括的に評価
2026年度診療報酬改定では、高齢者向け住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、医療ニーズの高い利用者に対して24時間体制で頻回な訪問看護を行う場合を対象とした「包括型訪問看護療養費」が新設されました。
今回の改定は、同一建物への頻回訪問が多い利用者について、従来の訪問ごとの出来高評価ではなく、1日単位の包括評価へ移行することを目的としています。
新設される評価
包括型訪問看護療養費は、1日当たりの訪問看護時間と単一建物居住利用者数に応じて算定します。
単一建物居住利用者数20人未満
訪問看護時間 点数
-
30分以上60分未満 :7,010円
-
60分以上90分未満 :11,010円
-
90分以上 :14,010円
-
90分以上(一定要件を満たす場合):15,510円
単一建物居住利用者数20人以上50人未満
訪問看護時間 点数
-
30分以上60分未満 :6,310円
-
60分以上90分未満 :9,910円
-
90分以上 :13,730円
-
90分以上(一定要件を満たす場合):15,200円
単一建物居住利用者数50人以上
訪問看護時間 点数
-
30分以上60分未満 :5,960円
-
60分以上90分未満 :9,360円
-
90分以上 :13,450円
-
90分以上(一定要件を満たす場合):14,890円
算定要件
対象となるのは、訪問看護ステーションに併設又は隣接する高齢者向け住まい等に居住する、
-
別表第7に掲げる疾病等の利用者
-
別表第8に掲げる利用者
-
特別訪問看護指示書の交付を受けている利用者
です。また、以下の要件を満たす必要があります。
-
24時間対応体制を確保していること
-
計画的又は随時の訪問看護を実施していること
-
日中及び夜間にそれぞれ少なくとも1回以上訪問看護を実施すること
-
1日に1回以上、看護師(准看護師を除く)による訪問を含むこと
-
1日当たりの訪問時間が60分以上の場合は、1日3回以上の訪問看護を実施すること
訪問時間は、1日に行った複数回の訪問看護の実施時間を合算して算定します。
施設基準
包括型訪問看護療養費を算定するためには、以下のような体制整備が求められます。
-
算定対象となる建物を訪問看護ステーションごとに1か所指定すること
-
医療安全及び衛生管理に関する組織的な取組を行うこと
-
地域の医療機関や訪問看護ステーションとの連携実績を有すること
-
電子的な記録保存を行うこと
-
厚生労働省の調査へ適切に協力すること
-
看護職員の負担軽減及び処遇改善に資する体制を整備すること
また、対象利用者数に応じて夜間帯の看護職員配置基準も定められています。
改定のポイント
今回の改定では、高齢者住まい等に居住する医療依存度の高い利用者に対する頻回訪問を包括的に評価する仕組みが新設されました。
これまでの改定で進められてきた、
-
同一建物居住者の評価見直し
-
難病等複数回訪問加算の見直し
-
複数名訪問看護加算の見直し
とあわせて、頻回訪問が必要な利用者については包括型評価へ移行する流れが示されています。
まとめ
今回の改定では、医療ニーズの高い利用者が居住する高齢者向け住まい等において、24時間体制で頻回な訪問看護を提供する訪問看護ステーションを評価する「包括型訪問看護療養費」が新設されました。
対象利用者の状態や訪問時間に応じて1日単位で包括的に評価する仕組みとなっており、今後は高齢者住まい等における重症者への訪問看護提供体制の充実が期待されます。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性・ 完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価の見直し③
複数名訪問看護加算等を利用者数に応じた評価へ見直し
2026年度診療報酬改定では、同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価見直しに伴い、複数名訪問看護加算及び複数名精神科訪問看護加算についても評価体系が見直されました。
今回の改定では、従来の
-
同一建物内1人又は2人
-
同一建物内3人以上
の区分を見直し、
-
同一建物内1人又は2人
-
同一建物内3~9人
-
同一建物内10~19人
-
同一建物内20~49人
-
同一建物内50人以上
へ細分化されています。
改定内容
看護職員+看護師等(准看護師を除く)
改定前 改定後
-
1人又は2人:4,500円 ➡ 1人又は2人:4,500円
-
3人以上:4,000円 ➡ 3~9人:4,000円
-
10~19人:3,400円
-
20~49人:3,000円
-
50人以上:2,700円
看護職員+准看護師
改定前 改定後
-
1人又は2人:3,800円 ➡ 1人又は2人:3,800円
-
3人以上:3,400円 ➡ 3~9人:3,400円
-
10~19人:2,800円
-
20~49人:2,500円
-
50人以上:2,200円
看護職員+その他職員(週3日まで)
改定前 改定後
-
1人又は2人:3,000円 ➡ 1人又は2人:3,000円
-
3人以上:2,700円 ➡ 3~9人:2,700円
-
10~19人:2,100円
-
20~49人:1,900円
-
50人以上:1,600円
看護職員+その他職員(1日複数回訪問)
1日1回
改定前 改定後
-
1人又は2人:3,000円 ➡ 1人又は2人:3,000円
-
3人以上:2,700円 ➡ 3~9人:2,700円
-
10~19人:2,100円
-
20~49人:1,900円
-
50人以上:1,600円
1日2回
改定前 改定後
-
1人又は2人:6,000円 ➡ 1人又は2人:6,000円
-
3人以上:5,400円 ➡ 3~9人:5,400円
-
10~19人:3,800円
-
20~49人:3,450円
-
50人以上:3,300円
1日3回
改定前 改定後
-
1人又は2人:10,000円 ➡ 1人又は2人:10,000円
-
3人以上:9,000円 ➡ 3~9人:9,000円
-
10~19人:5,500円
-
20~49人:4,800円
-
50人以上:4,500円
算定要件
対象となる利用者に変更はありません。
-
別表第7に掲げる疾病等の利用者
-
別表第8に掲げる利用者
-
特別訪問看護指示書の交付を受けている利用者
-
暴力行為や著しい迷惑行為等が認められる利用者
-
身体的理由により1人での訪問看護が困難な利用者
-
その他これらに準ずる利用者
に対して複数名で訪問看護を行った場合に算定できます。
改定のポイント
今回の改定では、複数名訪問看護加算及び複数名精神科訪問看護加算について、利用者数に応じた評価体系へ統一されました。
特に10人以上の利用者が居住する施設への訪問について新たな評価区分が設けられ、大規模施設への訪問実態を反映した評価へ見直されています。
まとめ
今回の改定では、複数名訪問看護加算等について、従来の「1人又は2人」「3人以上」の区分から、「3~9人」「10~19人」「20~49人」「50人以上」まで細分化されました。
同一建物への訪問が多い訪問看護ステーションでは、利用者数によって評価額が大きく変動するため、利用者数や算定実績の管理がより重要となる改定です。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
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同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価の見直し②
難病等複数回訪問加算・夜間早朝加算・深夜訪問看護加算を細分化
2026年度診療報酬改定では、同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価見直しに伴い、難病等複数回訪問加算、夜間・早朝訪問看護加算及び深夜訪問看護加算についても評価体系が見直されました。
今回の改定では、同一建物に居住する利用者への訪問看護について、同一日に算定する利用者数や月間の算定日数に応じた、よりきめ細かな評価体系へ変更されています。
改定内容
難病等複数回訪問加算の見直し
1日2回訪問の場合
区分 改定前 改定後
同一建物内1人又は2人 4,500円 ➡ 4,500円
同一建物内3人以上9人以下 4,000円 ➡ 4,000円
同一建物内10人以上19人以下 ― ➡ 3,700円
同一建物内20人以上49人以下 ― ➡ 3,500円
同一建物内50人以上 ― ➡ 3,300円
1日3回以上訪問の場合
区分 改定前 改定後
同一建物内1人又は2人 8,000円 ➡ 8,000円
同一建物内3人以上9人以下 7,200円 ➡ 月20日目まで:7,200円
月21日目以降:6,900円
同一建物内10人以上19人以下 ― ➡ 月20日目まで:6,300円
月21日目以降:5,200円
同一建物内20人以上49人以下 ― ➡ 月20日目まで:4,800円
月21日目以降:3,500円
同一建物内50人以上 ― ➡ 月20日目まで:4,100円
月21日目以降:3,000円
夜間・早朝訪問看護加算の見直し
区分 改定前 改定後
同一建物内1人又は2人 2,100円 ➡ 2,100円
同一建物内3人以上9人以下 ― ➡ 月15日目まで:2,100円
月16日目以降:1,900円
同一建物内10人以上19人以下 ― ➡ 月15日目まで:1,800円
月16日目以降 1,300円
同一建物内20人以上49人以下 ― ➡ 月15日目まで:1,200円
月16日目以降:950円
同一建物内50人以上 ― ➡ 月15日目まで:1,000円
月16日目以降:800円
深夜訪問看護加算の見直し
区分 改定前 改定後
同一建物内1人又は2人 4,200円 ➡ 4,200円
同一建物内3人以上9人以下 ― ➡ 月15日目まで:4,200円
月16日目以降:4,000円
同一建物内10人以上19人以下 ― ➡ 月15日目まで:3,900円
月16日目以降:2,300円
同一建物内20人以上49人以下 ― ➡ 月15日目まで:2,100円
月16日目以降:1,500円
同一建物内50人以上 ― ➡ 月15日目まで:1,800円
月16日目以降:1,300円
算定要件
算定要件自体に大きな変更はありません。
-
難病等複数回訪問加算は、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者に対して1日2回以上の訪問看護を実施した場合に算定
-
夜間・早朝訪問看護加算は、夜間(18時~22時)又は早朝(6時~8時)の訪問看護で算定
-
深夜訪問看護加算は、深夜(22時~6時)の訪問看護で算定
となります。
ただし改定後は、同一建物内で算定する利用者数や月間の算定日数によって評価額が変動します。
改定のポイント
今回の改定では、同一建物に居住する利用者への訪問看護について、利用者数が多い施設ほど評価を細分化する仕組みが導入されました。
特に10人以上の利用者へ訪問する施設では、算定日数に応じて評価額が段階的に減額される仕組みとなっており、大規模施設への訪問看護の適正化が図られています。
まとめ
今回の改定では、
-
難病等複数回訪問加算
-
夜間・早朝訪問看護加算
-
深夜訪問看護加算
について、同一建物内の利用者数及び算定日数に応じた新たな評価体系へ見直されました。
訪問看護基本療養費(Ⅱ)と同様に、10人以上の大規模施設への訪問について評価が細分化されており、今後は利用者数や算定日数の管理がこれまで以上に重要となる改定です。
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同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価の見直し①
訪問人数や訪問日数に応じた、よりきめ細かな評価体系へ
2026年度診療報酬改定では、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等の同一建物に居住する利用者への訪問看護について、実態に応じた評価となるよう見直しが行われました。
今回の改定では、訪問看護基本療養費(Ⅱ)等について、同一日に訪問する利用者数や月間の訪問日数に応じて評価を細分化するとともに、訪問時間や同一建物の考え方も明確化されています。
算定要件の見直し
訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定する場合は、
-
訪問看護記録書に訪問内容を記録すること
-
訪問時間は30分以上を標準とすること
-
20分未満の訪問は算定できないこと
が明確化されました。また、「同一建物」の範囲についても見直され、同一敷地内の建物についても同一建物として取り扱うこととされました。
訪問看護基本療養費(Ⅱ)の見直し
従来は「同一建物内2人」「同一建物内3人以上」の区分でしたが、改定後は同一日に訪問した利用者数に応じて評価が細分化されます。
看護師等による訪問
同一日に訪問した人数 改定後
-
2人 週3日目まで:5,550円
週4日目以降:6,550円
-
3~9人 週3日目まで:2,780円
週4日目以降:3,280円
-
10~19人 月20日目まで:2,760円
月21日目以降:2,660円
-
20~49人 月20日目まで:2,710円
月21日目以降:2,610円
-
50人以上 月20日目まで:2,610円
月21日目以降:2,510円
理学療法士等による訪問
同一日に訪問した人数改定後
-
2人 5,550円
-
3~9人 2,780円
-
10~19人 月20日目まで:2,760円
月21日目以降:2,660円
-
20~49人 月20日目まで:2,710円
月21日目以降:2,610円
-
50人以上 月20日目まで:2,610円
月21日目以降:2,510円
改定のポイント
今回の改定では、同一建物への訪問看護について、利用者数が多いほど評価が細分化される仕組みとなりました。
また、これまでの「2人」「3人以上」という大まかな区分から、
-
2人
-
3~9人
-
10~19人
-
20~49人
-
50人以上
の5区分へ見直され、実際の訪問実態に応じた評価体系へ変更されています。
さらに、同一敷地内の別棟についても同一建物として取り扱うことが明確化されました。
まとめ
今回の改定では、同一建物に居住する利用者への訪問看護について、
-
同一建物の定義を見直し
-
訪問時間の基準を明確化
-
利用者数や訪問日数に応じた評価へ細分化
が行われました。
同一建物への訪問が多い訪問看護ステーションでは、利用者数や訪問実績によって算定額が変動するため、これまで以上に実績管理が重要となる改定です。
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訪問看護管理療養費の見直し
月初の評価を引き上げ、月2日目以降は訪問回数・利用者数に応じた評価へ
2026年度診療報酬改定では、訪問看護管理療養費の評価体系が見直されました。
月初の訪問看護管理療養費について評価が引き上げられたほか、月2日目以降の訪問については従来の「訪問看護管理療養費1・2」を統合し、訪問日数や単一建物居住利用者数に応じた新たな評価体系へ再編されています。
改定内容①
月初の訪問看護管理療養費を引き上げ
区分改定前改定後
機能強化型訪問看護管理療養費1 13,230円 ➡ 13,760円
機能強化型訪問看護管理療養費2 10,030円 ➡ 10,460円
機能強化型訪問看護管理療養費3 8,700円 ➡ 9,030円
機能強化型訪問看護管理療養費4(新設) ― ➡ 9,030円
上記以外 7,670円 ➡ 7,710円
改定内容②
月2日目以降の評価体系を再編
従来の訪問看護管理療養費1(3,000円)・訪問看護管理療養費2(2,500円)は廃止・統合され、施設基準の届出も不要となります。
改定後は、単一建物居住利用者数と月の訪問日数に応じて以下のように評価されます。
単一建物居住利用者数20人未満
-
3,010円
単一建物居住利用者数20人以上50人未満
-
月15日目まで:2,510円
-
月16日目~24日目:2,310円
-
月25日目以降:2,210円
単一建物居住利用者数50人以上
-
月15日目まで:2,410円
-
月16日目~24日目:2,210円
-
月25日目以降:2,010円
算定要件
訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医へ提出するとともに、利用者に対する訪問看護の実施について計画的な管理を継続して行った場合に算定できます。
なお、月2日目以降については、単一建物居住利用者数及び月間の訪問日数に応じて算定区分が決定されます。
改定のポイント
今回の改定では、月初の管理機能に対する評価を充実させる一方で、月2日目以降については施設基準による区分を廃止し、実際の訪問状況に応じた評価体系へ見直されました。
特に、同一建物の利用者数が多く、頻回訪問を行うケースでは段階的に評価が設定されており、訪問看護の実態に即した仕組みへ変更されています。
まとめ
今回の改定では、
-
月初の訪問看護管理療養費を引き上げ
-
機能強化型訪問看護管理療養費4を新設
-
月2日目以降の「訪問看護管理療養費1・2」を統合
-
施設基準の届出を不要化
-
単一建物居住利用者数と訪問日数に応じた評価へ再編
が行われました。訪問看護ステーションの計画的な管理機能を評価しつつ、訪問実態に応じたよりきめ細かな評価体系へ見直された改定となっています。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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乳幼児加算の評価の見直し
6歳未満の乳幼児に対する訪問看護の評価を引き上げ
2026年度診療報酬改定では、医療的ケア児をはじめとする乳幼児への訪問看護ニーズの高まりを踏まえ、乳幼児加算の評価が見直されました。
乳幼児に対する訪問看護は、病状管理だけでなく、家族への支援や育児支援なども求められることから、訪問看護師の負担が大きい分野の一つです。今回の改定では、その実態を踏まえ評価の充実が図られています。
改定内容
乳幼児加算(訪問看護基本療養費)
改定前:1日につき 1,300円 ➡ 改定後:1日につき 1,400円
100円の引き上げとなります。
算定要件
6歳未満の乳幼児に対して、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護を実施した場合に算定できます。
なお、以下の利用者については、従来どおり1日につき1,800円を算定できます。
-
超重症児または準超重症児
-
特掲診療料の施設基準等別表第7に掲げる疾病等の者
-
特掲診療料の施設基準等別表第8に掲げる者
改定のポイント
今回の改定では、重症度の高い乳幼児に対する加算額(1,800円)に変更はありません。
一方で、それ以外の6歳未満の乳幼児に対する訪問看護について評価が引き上げられ、乳幼児への訪問看護全体の充実が図られています。
まとめ
今回の改定では、6歳未満の乳幼児に対する訪問看護の評価が見直され、乳幼児加算は1,300円から1,400円へ引き上げられました。
医療的ケア児を含む乳幼児への訪問看護ニーズが高まる中、訪問看護ステーションによる支援体制の充実を後押しする改定となっています。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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地域と連携した精神科訪問看護を提供する訪問看護ステーションの評価
「機能強化型訪問看護管理療養費4」を新設
2026年度診療報酬改定では、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進するため、支援ニーズの高い精神科訪問看護利用者を受け入れ、地域の関係機関と連携しながら24時間対応を行う訪問看護ステーションに対する新たな評価が設けられました。
今回の改定では、機能強化型訪問看護管理療養費の新たな区分として、「機能強化型訪問看護管理療養費4」が新設されます。
改定後の評価
機能強化型訪問看護管理療養費4:9,030円(月の初日の訪問) ※新設
算定要件
以下のような体制・実績を有する訪問看護ステーションが対象となります。
-
24時間対応体制を確保していること
-
別表第7・別表第8に該当する重症利用者を受け入れていること
-
精神障害があり重点的な支援を要する利用者を受け入れていること
-
退院時共同指導を実施するなど、保険医療機関と連携していること
-
地域の医療機関や訪問看護ステーション向けの研修を実施していること
-
地域の訪問看護ステーションや住民等からの相談に対応していること
-
地域の関係機関との会議参加実績があること
また、専門的な研修を修了した看護師の配置が望ましいとされています。
改定のポイント
これまでの機能強化型訪問看護ステーションは、主に重症利用者や看取りへの対応が評価の中心でした。
今回の改定では、「精神科訪問看護における地域連携機能」が新たな評価対象となり、
-
精神科医療機関との連携
-
退院支援
-
地域の人材育成
-
相談支援
-
多機関連携
などを担う訪問看護ステーションが評価されます。
まとめ
今回の改定では、機能強化型訪問看護管理療養費4(9,030円)が新設され、支援ニーズの高い精神科訪問看護利用者を受け入れ、24時間対応体制のもとで地域の関係機関と連携する訪問看護ステーションが新たに評価されることとなりました。
精神科訪問看護の質向上だけでなく、地域包括ケアシステムにおける訪問看護ステーションの中核的な役割を後押しする改定として注目されます。
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訪問看護におけるICTを用いた医療情報連携の推進
多職種間で共有された医療・ケア情報を活用する訪問看護を新たに評価
2026年度診療報酬改定では、在宅療養患者に対する多職種連携をさらに推進する観点から、ICTを活用した医療情報連携を評価する仕組みが新設されました。
医師、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャーなどが共有する医療・ケア情報を活用しながら、計画的な訪問看護管理を行う体制を評価するものです。
訪問看護医療情報連携加算を新設
今回の改定では、(新)訪問看護医療情報連携加算:1,000円(月1回)が新設されました。
※在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料についても同様の評価が設けられています。
算定要件
算定にあたっては、利用者の同意を得たうえで、
-
他の医療機関等の関係職種がICTに記録した医療・ケア情報を取得・活用すること
-
その情報を活用して計画的な訪問看護管理を行うこと
-
訪問看護実施後の診療情報等を記録し、多職種へ共有すること
が求められます。
記録が必要な内容
加算算定にあたっては、以下の情報を記録する必要があります。
-
次回の訪問看護予定日
-
訪問看護計画変更の有無
-
計画変更の概要
-
利用者ケアにおける留意事項
-
人生の最終段階における医療・ケアの希望
-
病状急変時の治療方針に関する希望
などです。
ICT上で共有する情報の条件
訪問看護を行う際には、過去90日以内に記録された医療・ケア情報をICTで取得し活用していることが必要です。
また、取得した情報は、特別の関係にある医療機関等が記録したものだけではなく、他の連携機関が記録した情報を含むことが求められています。
施設基準
施設基準として、
-
利用者情報をICTで共有できる体制
-
一元管理されたサーバーでの情報保管
-
利用者同意に基づく情報共有
-
参加者が常時情報を確認できる体制
-
連携機関5か所以上との連携
などが求められます。さらに、
-
ICT連携体制を構築していることの掲示
-
原則としてホームページへの掲載
も必要となります。
改定の背景
在宅医療では、医師・訪問看護師・薬剤師・ケアマネジャー・介護事業者など多職種による支援が行われています。
一方で、必要な情報がそれぞれの事業所内に分散し、迅速な情報共有が難しいケースもあります。
今回の改定では、ICTを活用した情報共有を推進することで、多職種連携の質を高め、より安全で質の高い在宅療養支援につなげることが目的とされています。
まとめ
今回の改定では、「訪問看護医療情報連携加算(1,000円/月)」が新設されました。
ICTを活用して多職種が記録した医療・ケア情報を共有し、その情報を基に計画的な訪問看護管理を行う体制が評価されます。
在宅療養患者を支える多職種連携のさらなる推進と、情報共有による訪問看護の質の向上が期待される改定となっています。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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難治性皮膚疾患を持つ利用者への訪問看護に係る評価の見直し
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受ける利用者への訪問看護を充実
2026年度診療報酬改定では、手厚いケアが必要な重症の難治性皮膚疾患を持つ利用者に対する訪問看護の充実を図るため、訪問看護基本療養費等の算定対象が見直されました。
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受ける利用者を対象に追加
今回の改定では、「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」を受けている利用者について、新たに訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象として追加されました。
改定前
訪問看護基本療養費等について週4日以上の訪問看護が認められる対象は、
-
厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)
-
厚生労働大臣が定める状態等(別表第8)
-
特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者
などに限られていました。そのため、重症の難治性皮膚疾患であっても、対象要件に該当しない場合は頻回な訪問看護が必要であっても十分な対応が難しいケースがありました。
改定後
新たに、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている利用者が追加され、週4日以上の訪問看護が必要な場合にも訪問看護基本療養費等の算定が可能となります。
改定の背景
難治性皮膚疾患では、褥瘡・重度の皮膚潰瘍・広範囲の創傷管理など、継続的かつ専門的な処置が必要となることがあります。
また、感染予防や創傷管理のため、短期間に複数回の訪問看護が必要となるケースも少なくありません。
今回の改定は、こうした利用者に対して必要な訪問看護を提供しやすくすることを目的としています。
まとめ
今回の改定では、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受ける利用者が、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象に追加されました。
これにより、重症の難治性皮膚疾患を持つ利用者に対して、より頻回で継続的な訪問看護の提供が可能となり、在宅療養の質の向上が期待されます。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確 性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
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過疎地域等に配慮した評価の見直し
特別地域訪問看護加算の対象を拡大
2026年度診療報酬改定では、住み慣れた地域で療養生活を継続できるよう、過疎地域や離島等における訪問看護について評価の見直しが行われました。
今回の改定では、訪問看護ステーションから利用者宅までの移動負担が大きいケースについて、特別地域訪問看護加算の算定対象が拡大されています。
特別地域訪問看護加算とは
特別地域訪問看護加算は、離島・過疎地域・振興山村・奄美群島・小笠原諸島・沖縄の離島などの地域において、訪問看護を提供する際の移動負担を評価する加算です。
算定した場合は、訪問看護基本療養費等の所定額の50%相当額が加算されます。
改定前の算定要件
現行では、訪問看護ステーションから利用者宅までの移動時間が片道1時間以上であり、
-
特別地域に所在する訪問看護ステーションが訪問する場合
-
特別地域外の訪問看護ステーションが特別地域の利用者へ訪問する場合
に算定可能とされていました。
改定後の算定要件
従来の要件に加え、新たに以下のケースでも算定できるようになります。
特別地域に所在する訪問看護ステーションが、特別地域に居住する利用者へ訪問する場合で、
-
利用者宅までの移動時間が片道30分以上
-
訪問看護ステーションから利用者宅までの往復移動時間と訪問看護実施時間の合計が2時間30分以上
の両方を満たす場合。
改定のポイント
これまでは「片道1時間以上」という要件が中心でしたが、今回の改定では、移動時間だけでなく、往復移動時間と訪問看護実施時間を含めた拘束時間全体を評価する仕組みが導入されました。
例えば、
-
片道40分の訪問
-
往復80分
-
訪問看護時間70分
の場合、合計150分(2時間30分)となるため、新たに加算対象となる可能性があります。
まとめ
今回の改定では、特別地域訪問看護加算の対象が拡大され、
-
従来の「片道1時間以上」の訪問
-
新たな「片道30分以上かつ往復移動時間と訪問看護時間の合計が2時間30分以上」の訪問
の双方が評価対象となりました。
過疎地域や離島では移動負担が大きく、訪問看護事業所の運営が課題となっています。今回の改定は、こうした地域における訪問看護提供体制を維持し、住み慣れた地域での療養継続を支援するための見直しとなっています。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直し
患者紹介における経済的利益の授受を禁止し、患者の選択権を確保
2026年度診療報酬改定では、患者が適切な医療・介護サービスを公平に選択できる環境を整備するため、保険医療機関及び保険医療養担当規則が見直されました。
今回の改定では、医療機関が患者に対して特定の訪問看護ステーションや介護サービス事業者等を紹介する際に、経済的利益を受け取ることや提供することを禁止するルールが明確化されています。
患者紹介と引き換えの経済的利益を禁止
医療機関は、
-
訪問看護ステーション
-
介護サービス事業者
-
高齢者施設
-
その他関係事業者
に対して患者を紹介する見返りとして、
-
紹介料
-
手数料
-
キックバック
-
その他の経済的利益
を受け取ることが禁止されました。また、逆に医療機関が経済的利益を提供して患者紹介を受けることも認められません。
患者の自由な選択を尊重
在宅医療や訪問看護の利用にあたっては、本来、患者や家族が必要な情報を得たうえで事業所を選択することが原則です。今回の改定では、経済的な利害関係によって患者の紹介先が決定されることを防ぎ、
-
患者本位のサービス選択
-
公正な事業者間競争
-
医療・介護サービスの透明性向上
を図ることが目的とされています。
医療機関に求められる対応
今後は、
-
患者紹介に関する契約内容の確認
-
紹介料や手数料の授受の有無の確認
-
関係事業者との連携体制の見直し
-
患者への適切な情報提供
などが重要となります。特に在宅医療を実施する医療機関では、訪問看護ステーションや介護サービス事業者との連携機会が多いため、改めて運用状況を確認することが求められます。
改定の背景
近年、一部地域では、
-
紹介料を伴う患者紹介
-
特定事業者への利用者誘導
-
囲い込みを目的とした連携
などが課題として指摘されていました。今回の見直しは、こうした不適切な取引を防止し、患者が安心してサービスを選択できる環境を整備することを目的としています。
まとめ
今回の改定では、
-
患者紹介に伴う経済的利益の授受を禁止
-
訪問看護ステーションや介護事業者への不適切な誘導を防止
-
患者の自由な選択を尊重
-
医療・介護サービス提供の透明性を向上
するためのルールが明確化されました。
医療機関には、患者本位の視点に立った適切な情報提供と、公正な連携体制の構築がこれまで以上に求められることになります。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直し
訪問看護事業者の適正運営と安全管理を強化
2026年度診療報酬改定では、訪問看護の質の確保と利用者保護を目的として、指定訪問看護事業者の人員及び運営に関する基準が見直されました。
近年、訪問看護事業所の増加に伴い、一部では利用者の囲い込みや不適切な紹介行為、医療安全管理体制の不備などが課題として指摘されています。
今回の改定では、訪問看護事業者に求められる運営上のルールを明確化し、より適正で透明性の高い事業運営を求める内容となっています。
適正な届出・請求手続きの実施を明確化
訪問看護事業者は、
-
地方厚生局等への申請
-
各種届出
-
訪問看護療養費の請求
について、法令や関係通知に基づき適正に実施しなければならないことが明確化されました。
診療報酬請求や施設基準の届出について、これまで以上に適正な運用が求められます。
健康保険制度の健全な運営への協力を明記
訪問看護事業者には、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めることが新たに求められました。
訪問看護事業者も医療保険制度を支える重要な担い手として、適正な保険診療の実施と制度運営への協力が求められます。
利用者への経済的利益による誘導を禁止
今回の改定では、利用者を自事業所へ誘導する目的で経済的利益を提供する行為が禁止されました。
例えば、
-
利用料の不適切な割引
-
金品の提供
-
商品券等の配布
-
その他の経済的利益の供与
などにより、自事業所の利用を促す行為は認められません。
利用者が適切な情報に基づいて事業所を選択できる環境を確保することが目的です。
紹介料やキックバックによる利用者囲い込みを禁止
訪問看護事業者が、
-
高齢者施設
-
居宅介護支援事業所
-
医療機関
-
紹介事業者
-
その他関係機関
などに対して、利用者紹介の見返りとして金銭やその他の経済的利益を提供することも禁止されました。
また、逆に経済的利益を受け取ることによって利用者紹介を受ける行為についても適切ではないことが明確化されています。
今回の改定は、いわゆる「紹介料ビジネス」や「利用者囲い込み」を防止することが大きな目的となっています。
医療安全管理体制の整備を義務化
訪問看護の利用者は医療依存度の高い患者も多く、事故発生時の対応体制整備が重要となります。
今回の改定では、
-
医療安全管理に関する体制整備
-
事故発生時の対応体制の構築
-
安全管理に関する職員教育
など、安全管理体制を確保することが求められました。
訪問看護事業所においても、病院や診療所と同様に医療安全への取組みが重要視されています。
記録の整備・保存を徹底
訪問看護事業者は、
-
訪問看護の提供内容
-
利用者の状態
-
実施した看護内容
-
関係機関との連携状況
などについて適切に記録を作成し保存することが求められます。
また、これらの記録は完結の日から2年間保存しなければなりません。
適切な記録管理は、サービスの質の確保だけでなく、監査や指導への対応の観点からも重要となります。
改定の背景
今回の見直しの背景には、
-
訪問看護事業所数の急増
-
一部事業者による不適切な利用者誘導
-
紹介料の授受
-
安全管理体制のばらつき
などの課題があります。利用者が安心して訪問看護を利用できる環境を整備するとともに、事業者間の公正な競争を確保することが今回の改定の狙いです。
まとめ
今回の改定では、指定訪問看護事業者に対し、
-
適正な申請・届出・請求の実施
-
健康保険制度の健全な運営への協力
-
利用者への経済的利益による誘導の禁止
-
紹介料やキックバックによる囲い込みの防止
-
医療安全管理体制の整備
-
記録管理の徹底
が求められることとなりました。
訪問看護の質と透明性を高め、利用者本位のサービス提供を実現するための運営基準強化が今回の改定の大きなポイントです。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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適正な訪問看護の推進
訪問看護の質の向上に向け、訪問内容の適正化と記録管理を強化
2026年度診療報酬改定では、利用者一人ひとりの状態に応じた適切な訪問看護を推進するため、訪問看護の実施方法や記録管理に関するルールが見直されました。
今回の改定では、画一的な訪問看護を防止し、訪問後の評価や記録の充実を図ることで、より質の高い訪問看護の提供を目指しています。
標準的な訪問時間を大きく下回る訪問の反復を適正化
訪問看護の標準的な実施時間は1回30分~90分程度とされています。
今回の改定では、利用者の都合などやむを得ない事情がある場合を除き、標準的な訪問時間を大きく下回る短時間の訪問を繰り返し実施することは適切な訪問看護として認められないことが明確化されました。
これにより、訪問時間の確保と看護の質の維持がより重視されることになります。
利用者ごとの状態に応じた訪問計画が必要に
訪問看護は、利用者の病状や生活状況に応じて個別に計画されるべきものであり、
-
一律の訪問回数
-
一律の訪問時間
-
一律の訪問人数
などを設定することは適切ではないことが明確に示されました。
また、実際に利用者の状態を把握していない者が訪問回数や訪問時間を決定することも認められません。
今後は、利用者ごとの状態や看護目標に応じた、より個別性の高い訪問計画が求められます。
訪問後の評価をより重視
訪問看護の実施後には、
-
看護目標の達成状況
-
提供した看護の効果
を評価し、その結果を次回以降の訪問看護へ反映することが求められます。
単に訪問を実施するだけでなく、提供した看護が利用者にどのような効果をもたらしたかを継続的に確認しながら支援を行うことが重要になります。
記録管理の強化
訪問看護の実施内容については、利用者の状態・実施した看護内容・看護の評価・訪問に要した時間
などを適切に記録することに加え
-
実際の訪問開始時刻
-
実際の訪問終了時刻
-
訪問場所
-
訪問人数
などについても記録・管理を行うことが明確化されました。
まとめ
今回の改定では、
-
短時間訪問の反復的な実施の適正化
-
利用者の状態に応じた個別計画の徹底
-
訪問後の評価の充実
-
記録管理の強化
が盛り込まれました。訪問看護ステーションには、利用者一人ひとりの状態や目標に応じた質の高い訪問看護の提供と、その効果を継続的に評価・記録する体制がこれまで以上に求められる改定となっています。
令和8年度診療報酬改定 9. 質の高い訪問看護の推進
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医療技術評価分科会の評価を踏まえた対応⑳
在宅ハイフローセラピー指導管理料2を新設
2026年度診療報酬改定では、新規技術の保険導入として、在宅で高流量酸素療法(ハイフローセラピー)を必要とする重度の低酸素血症患者に対する評価が新設されました。
今回の改定では、在宅で高濃度の酸素吸入を伴うハイフローセラピーを実施する患者に対し、適切な指導管理を行った場合の評価として「在宅ハイフローセラピー指導管理料2」が創設されています。
新設される点数
在宅ハイフローセラピー指導管理料2(新設):2,400点
在宅で高濃度酸素ハイフローセラピーを実施する患者に対して、医師が指導管理を行った場合に算定できます。
算定要件
以下の患者に対し、高濃度の酸素吸入を伴う在宅ハイフローセラピーに関する指導管理を行った場合に算定できます。
-
在宅ハイフローセラピーを実施していること
-
重度の低酸素血症があること
-
入院中ではないこと
対象患者
対象となるのは、以下のすべてを満たす患者です。
① 重度の低酸素血症が持続していること
間質性肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重症肺炎等の呼吸器疾患に対して適切な入院治療を行った後も、常時、高濃度の酸素吸入を必要とする重度の低酸素血症が持続していること。
② 入院中からハイフローセラピーを実施していること
在宅療養へ移行する直前まで原疾患の治療目的で入院しており、入院中に高濃度酸素ハイフローセラピーが開始され、離脱が困難な状態であること。
③ 原疾患の改善が見込めないこと
適切な治療を行っても、原疾患の改善が期待できない状態であること。
④ 患者本人が在宅療養を希望していること
病状を十分に理解したうえで、
-
気管挿管
-
気管切開による呼吸管理
を希望せず、在宅での療養を希望していること。
⑤ 高流量酸素療法が必要であること
医師が、酸素流量6L/分以上の高濃度酸素吸入を伴うハイフローセラピーが適当であると判断した患者が対象となります。
改定の背景
従来は、重度の低酸素血症患者に対して在宅で高流量酸素療法を継続するための明確な評価がありませんでした。
今回の改定では、入院治療後も高濃度酸素療法から離脱できない患者について、患者本人の意思を尊重しながら在宅療養へ移行できるよう、新たな評価が設けられています。
まとめ
今回の改定では、新規技術の保険導入として、「在宅ハイフローセラピー指導管理料2(2,400点)」が新設されました。
対象となるのは、間質性肺炎やARDS、重症肺炎等により重度の低酸素血症が持続し、入院中から高流量酸素療法を必要としている患者です。
これにより、気管挿管や気管切開を希望しない患者が、住み慣れた自宅で療養を継続できる体制の整備が期待されています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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非がん患者に対する緩和ケアの評価の見直し
末期心不全・末期呼吸器疾患・末期腎不全患者に対する在宅緩和ケアを評価
2026年度診療報酬改定では、がん患者以外にも緩和ケアを必要とする患者が増加していることを踏まえ、非がん患者に対する在宅緩和ケアの評価が見直されました。
今回の改定では、末期呼吸器疾患及び末期腎不全の患者に対して、在宅で麻薬を用いた症状緩和を行う場合の評価が新設されています。
改定内容
在宅麻薬等注射指導管理料の見直し
心不全、呼吸器疾患又は腎不全の場合:1,500点
算定要件
以下のすべてを満たす場合に算定できます。
-
呼吸器疾患又は腎不全の患者であること
-
緩和ケアを要する状態であること
-
入院中ではない末期の患者であること
-
在宅において麻薬の注射に関する指導管理を行うこと
注入ポンプ加算等も対象
今回の見直しでは、
-
注入ポンプ加算
-
携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算
についても同様の取扱いとされています。
改定の背景
これまで在宅緩和ケアは主としてがん患者を中心に評価されてきましたが、
-
末期呼吸器疾患
-
末期腎不全
の患者においても、呼吸困難や疼痛などの苦痛症状に対する緩和ケアの重要性が高まっています。
今回の改定では、こうした非がん患者に対する在宅での症状緩和を診療報酬上で評価し、住み慣れた地域での療養継続を支援することが目的とされています。
まとめ
今回の改定では、緩和ケアを要する末期呼吸器疾患及び末期腎不全患者に対する在宅緩和ケアの評価が追加されました。
これにより、がん患者だけでなく非がん患者に対する在宅緩和ケアの充実が図られ、患者が住み慣れた地域で適切な症状緩和を受けながら療養を継続できる体制の強化が期待されています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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遠隔連携診療料の評価の拡大
DtoP with Dを活用した遠隔診療を推進し、外来・在宅・入院での専門医療へのアクセスを向上
2026年度診療報酬改定では、専門医不足地域への支援や患者の移動負担軽減を目的として、DtoP with D(Doctor to Patient with Doctor)によるオンライン診療の評価が見直されました。
今回の改定では、遠隔連携診療料の評価体系を再編するとともに、対象患者及び活用場面を大幅に拡大し、外来診療だけでなく訪問診療や入院診療においても専門医との遠隔連携が評価されるようになりました。
D to P with Dとは
D to P with Dとは、患者のもとにいる医師と、遠隔地にいる専門医が情報通信機器を用いて連携しながら診療を行う仕組みです。
患者のそばには主治医等が同席し、遠隔地の専門医がオンラインで診療に参加することで、
-
専門的な診断や治療方針の助言を受けられる
-
地域の主治医と専門医が同時に患者を診療できる
-
患者が遠方の専門医療機関へ通院する負担を軽減できる
といったメリットがあります。
点数の見直し
改定前
区分点数
遠隔連携診療料(診断目的)750点
遠隔連携診療料(その他)500点
改定後
区分点数
遠隔連携診療料(外来)900点
遠隔連携診療料(訪問)900点
遠隔連携診療料(入院)900点
従来の「診断目的」「その他」の区分を廃止し、外来・訪問診療・入院診療のいずれも900点で評価される体系へ見直されました。
改定のポイント①
外来診療における対象患者の拡大
従来は指定難病やてんかん患者が主な対象でしたが、今回の改定で対象患者が拡大されました。
対象患者の例
-
指定難病患者
-
てんかん患者
-
希少がん患者
-
小児慢性特定疾病患者
-
医療的ケア児(者)
-
悪性腫瘍の患者
-
膠原病の患者
-
慢性維持透析患者
これにより、より多くの患者が専門医との遠隔連携診療を受けられるようになります。
改定のポイント②
訪問診療における評価を新設
在宅療養中の患者に対して、訪問診療を行う医師が患者宅で診療しながら、遠隔地の専門医と連携して診療を行う場合に算定できるようになりました。
対象患者の例
-
標榜していない診療科の専門的診療が必要な患者
-
医療的ケア児(者)
-
外来緩和ケア管理料の対象患者
在宅医療の現場でも、専門医の支援を受けながら診療を行いやすくなります。
改定のポイント③
入院診療における評価を新設
入院患者についても、専門的な診療が必要な場合に、他医療機関の専門医とオンラインで連携しながら診療を行うことが可能となりました。
対象患者の例
-
指定難病患者
-
希少がん患者
など。算定にあたっては、
-
患者の同意取得
-
専門医療機関への診療情報提供
-
情報通信機器を用いた連携診療
が必要とされています。
改定の狙い
今回の見直しは、
-
専門医不足地域への支援
-
在宅患者への専門医療提供
-
入院患者への専門的コンサルテーション
-
患者の移動負担軽減
-
地域医療機関と専門医療機関の連携強化
を目的としています。
まとめ
今回の改定では、DtoP with Dによる遠隔診療の活用を推進するため、
-
遠隔連携診療料を900点へ再編
-
遠隔連携訪問診療料(900点)を新設
-
遠隔連携入院診療料(900点)を新設
-
対象患者を大幅に拡大
する見直しが行われました。
これにより、外来・在宅・入院のいずれの場面においても、地域の主治医と専門医が連携しながら診療を行いやすくなり、患者が住み慣れた地域で専門的な医療を受けられる体制の強化が期待されています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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退院直後の訪問栄養食事指導に関する評価の新設
退院後の在宅療養を支える「退院後訪問栄養食事指導料」を新設
2026年度診療報酬改定では、入院中に栄養管理の必要性が高い患者が、安心して在宅療養へ移行し、その後も適切な栄養管理を継続できるよう支援する観点から、新たな評価が設けられました。
今回の改定では、退院直後に入院医療機関の管理栄養士が患者宅等を訪問し、栄養管理や食生活に関する指導を行った場合の評価として、「退院後訪問栄養食事指導料」が新設されています。
新設される点数
退院後訪問栄養食事指導料(新設):530点(1回につき)
対象患者
以下のような栄養管理が必要な患者が対象となります。
-
医師の食事箋に基づく特別食を必要とする患者
-
がん患者
-
摂食機能または嚥下機能が低下している患者
-
低栄養状態にある患者
など、退院後も継続した栄養管理が必要な患者です。
算定要件
保険医療機関を退院した対象患者に対し、
-
円滑な在宅療養への移行
-
在宅療養の継続
を目的として、当該保険医療機関の医師の指示に基づき、当該保険医療機関の管理栄養士が患者宅等を訪問し、具体的な献立等を用いて栄養管理に関する指導を行った場合に算定できます。
算定回数
退院後訪問栄養食事指導料は、退院日を除き、退院日から起算して1か月以内に限り算定可能です。
また、1か月以内に最大4回まで算定することができます。
併算定の取扱い
退院後訪問栄養食事指導料を算定している期間中は、
-
外来栄養食事指導料
-
在宅患者訪問栄養食事指導料
を別に算定することはできません。一方で、退院後1か月を経過した後も栄養食事指導が必要な場合は、
-
外来栄養食事指導料
-
在宅患者訪問栄養食事指導料
-
管理栄養士による居宅療養管理指導(介護保険)
へ移行して継続的な支援を行うことができます。
まとめ
今回の改定では、退院直後の在宅移行を支援するため、「退院後訪問栄養食事指導料(530点)」が新設されました。
入院医療機関の管理栄養士が退院後早期に患者宅を訪問し、具体的な献立や食事内容を踏まえた栄養指導を行うことで、低栄養の予防や再入院の防止、在宅療養の継続支援につながることが期待されています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅で使用する衛生材料等の提供ルールの見直し
製造販売業者から患者宅への直接郵送が可能に
2026年度診療報酬改定では、在宅療養患者への衛生材料及び特定保険医療材料の供給を円滑に行う観点から、提供ルールの見直しが行われました。
改定の背景
在宅医療では、患者の状態に応じて様々な衛生材料や特定保険医療材料が必要となります。
一方で、患者数の増加や在宅医療の高度化に伴い、医療機関や薬局による材料供給の負担も大きくなっています。
そのため、必要な材料を安定的かつ効率的に患者へ届ける仕組みの整備が求められていました。
改定内容
今回の改定では、医師が支給を決定した衛生材料及び特定保険医療材料について、医療機関や薬局からの提供だけでなく、製造販売業者から患者宅へ直接郵送することが可能となりました。
製造販売業者からの直接郵送は、医師の指示に基づいて実施することが要件とされています。
郵送に関する取扱い
直接郵送を行う場合、
-
製造販売業者は販売業の許可を受けていること
-
郵送費用は全額患者負担であること
とされています。
保険薬局からの提供
当該患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行い、
-
地域支援体制加算
-
在宅薬学総合体制加算
の届出を行っている保険薬局については、従来どおり訪問薬剤管理指導時の支給や郵送による提供を行うことができます。
まとめ
今回の改定では、医師が支給を決定した衛生材料及び特定保険医療材料について、製造販売業者から患者宅へ直接郵送できる仕組みが新たに認められました。
これにより、在宅患者への材料供給の選択肢が広がり、医療機関・薬局の業務負担軽減と、患者への安定的な材料供給が期待されます。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅療養指導管理材料加算の見直し
在宅療養指導管理材料加算を「3月に3回」に統一
2026年度診療報酬改定では、患者ごとの状態に応じた適切な在宅医療の提供を推進する観点から、在宅療養指導管理材料加算の算定要件が見直されました。
今回の改定では、これまで材料加算ごとに異なっていた算定回数の取扱いを整理し、全ての在宅療養指導管理材料加算について「3月に3回」に統一されました。
改定内容
改定前
在宅療養指導管理材料加算は、原則として「月1回」算定とされていました。
また、一部の材料加算については、
-
3月に3回算定可能
-
2月に2回算定可能
など、個別の取扱いが設けられていました。
改定後
算定要件の通則が見直され、「在宅療養指導管理料を算定する場合に、特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する」と変更されました。
これにより、全ての在宅療養指導管理材料加算の算定回数が統一されます。
対象となる主な材料加算
今回の見直しの対象には、
-
注入器加算
-
注入器用注射針加算
-
在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算
-
在宅経管栄養法用栄養管セット加算
-
人工呼吸器加算
-
携帯型精密輸液ポンプ加算
-
気管切開患者用人工鼻加算
-
排痰補助装置加算
-
在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算
など、多くの在宅療養指導管理材料加算が含まれています。
改定の狙い
在宅患者の病状や使用状況は個々に異なり、必要となる衛生材料や医療材料の消費量も患者ごとに差があります。
今回の改定は、
-
患者の状態に応じた柔軟な材料供給
-
在宅療養の継続支援
-
医療機関の事務負担の軽減
を図ることを目的としており、患者ごとの実態に合わせた運用をしやすくする内容となっています。
まとめ
今回の改定では、在宅療養指導管理材料加算について、「月1回」から「3月に3回」へ算定要件が見直されました。
これにより、これまで材料ごとに異なっていた算定回数の取扱いが整理され、患者の状態や使用状況に応じて、より柔軟な材料供給が可能となります。
また、在宅医療の現場においては、患者ごとの使用実績を適切に把握しながら、必要な医療材料を計画的に提供していくことがより重要となります。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性 ・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
残薬対策に係る地域包括診療料等の見直し
残薬確認と適切な服薬管理を新たな要件として追加
2026年度診療報酬改定では、ポリファーマシー対策及び残薬対策を推進する観点から、地域包括診療加算及び地域包括診療料の服薬管理に関する要件が見直されました。
今回の改定では、患者の処方薬を把握・管理するだけでなく、残薬の状況を確認したうえで適切な服薬管理や処方調整を行うことが新たに求められています。
改定のポイント①
残薬確認と服薬管理が新たな要件に
改定後は、地域包括診療加算及び地域包括診療料の算定にあたり、
-
患家における残薬の状況を患者または家族から聴取すること
-
残薬の状況に応じて適切な服薬管理を行うこと
-
必要に応じて処方内容の調整を行うこと
が算定要件として追加されました。
単に処方内容を把握するだけでなく、実際に患者が適切に服薬できているかを確認し、残薬が生じている場合にはその原因を把握したうえで対応することが求められます。
改定のポイント②
電子処方箋システムの活用を明確化
従来から、
-
他の保険医療機関との連携
-
オンライン資格確認
を活用して患者の受診状況や処方薬を把握することが求められていました。
今回の改定では、これらに加えて、電子処方箋システム等を活用して患者に処方されている医薬品を管理することが明確化されました。
処方内容の調整も要件化
把握した情報に基づき、
-
薬物有害事象のリスク低減
-
服薬アドヒアランスの向上
-
服薬負担の軽減
のために処方内容の調整が必要と判断した場合には、他の保険医療機関へ処方変更を依頼するなど、実際に処方内容の調整を行うことが求められます。
まとめ
今回の改定では、地域包括診療加算及び地域包括診療料について、
-
残薬状況の確認
-
適切な服薬管理
-
必要に応じた処方内容の調整
が新たな要件として追加されました。
また、
-
オンライン資格確認
-
電子処方箋システム
等を活用しながら、患者が受診している医療機関や処方薬を一元的に把握し、薬物有害事象の防止やポリファーマシー対策につなげることが求められています。
今回の見直しは、単なる薬剤管理ではなく、患者の実際の服薬状況まで踏み込んだ継続的な薬物療法管理を推進する改定といえます。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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医師と薬剤師の同時訪問の推進
「訪問診療薬剤師同時指導料」が新設
2026年度診療報酬改定では、在宅医療におけるポリファーマシー対策及び残薬対策を推進する観点から、訪問診療を行う医師と訪問薬剤管理指導を行う薬剤師が在宅患者を同時に訪問した場合の新たな評価として、「訪問診療薬剤師同時指導料」が新設されました。
新設される点数
訪問診療薬剤師同時指導料(新設):300点(6か月に1回)
算定対象患者
以下のすべてを満たす患者が対象となります。
-
当該保険医療機関で在宅時医学総合管理料を算定していること
-
他の保険医療機関または保険薬局において在宅患者訪問薬剤管理指導料または居宅療養管理指導費(薬剤師によるもの)を算定していること
-
在宅療養中であり、医師による計画的な訪問診療を受けていること
算定要件
主治医と訪問薬剤管理指導を行う薬剤師が、事前に患者の同意を得たうえで、患者宅へ同時に訪問し、共同して薬学的管理や処方調整等を行った場合に算定できます。
同時訪問時には、患者の生活実態を踏まえながら、
-
残薬の確認
-
服薬状況の確認
-
副作用の早期兆候の把握
-
剤形の見直し
-
用法の見直し
などについて医師と薬剤師が協議し、必要に応じて、
-
医師による処方設計の見直し
-
薬剤師による薬学的支援
を行うことが求められます。
処方変更がなくても算定可能
医師と薬剤師が協議した結果、実際に処方変更が行われなかった場合でも算定可能とされています。
診療録への記載
算定にあたっては、
-
医師と薬剤師が共同して行った指導内容
-
処方薬の調整を行った場合はその要点
を診療録へ記載する必要があります。
退院直後の患者の取扱い
当該保険医療機関を退院した患者に対し、退院日から1か月以内に実施した指導の費用は入院基本料に含まれるため、別途算定することはできません。
まとめ
今回の改定では、在宅医療における残薬対策やポリファーマシー対策を推進するため、「訪問診療薬剤師同時指導料(300点)」が新設されました。
主治医と薬剤師が患者宅で直接情報共有しながら、残薬確認や副作用評価、処方内容の見直しを共同で行う取組が新たに評価されることとなり、より安全で適切な薬物療法の実現が期待されています。
※この改定は、在宅医療充実体制加算や在総管の見直しと並び、2026年度改定における「在宅医療の質向上」を象徴する改定項目の一つといえます。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の見直し
月2回以上訪問診療区分に重症患者割合要件を新設
2026年度診療報酬改定では、在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の算定要件が見直され、月2回以上訪問診療を行う患者に対する評価の考え方が変更されました。
今回の改定では、月2回以上訪問診療を行う患者が一定数以上いる医療機関について、新たに重症患者割合要件が導入されています。
改定のポイント
直近3か月間における「月2回以上訪問診療を実施した患者の延べ診療月数」に応じて取扱いが分かれます。
延べ診療月数が30月未満の場合
従来どおり月2回以上訪問診療区分を算定できます。
※延べ診療月数とは、月2回以上訪問診療を行った患者の算定月数を合計したものです。例えば、10人の患者に3か月間継続して月2回以上の訪問診療を行った場合は「30月」となります。
延べ診療月数が30月以上の場合
重症患者割合要件を満たす必要があります。
具体的には、
-
別表第8の2に該当する重症患者
-
別表第8の3に該当する包括的支援加算対象患者
の割合が20%以上であることが求められます。
重症患者の例
重症患者には、
-
要介護3以上の患者
-
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の患者
-
月4回以上の訪問看護を受けている患者
-
医療処置や継続的な医療管理が必要な患者
などが含まれます。
届出・実績報告
今回の改定では、月2回以上訪問診療区分を算定する医療機関に対し、重症患者割合に関する実績の届出が求められます。
直近3か月間の延べ診療月数が30月以上となる場合は、
-
別表第8の2に該当する重症患者
-
別表第8の3に該当する包括的支援加算対象患者
の割合を算出し、要件を満たしていることを確認する必要があります。
また、実績については毎年2月・5月・8月・11月に地方厚生(支)局へ届出を行うこととされています。
そのため、医療機関においては日頃から
-
月2回以上訪問診療患者数
-
延べ診療月数
-
別表第8の2該当患者数
-
別表第8の3該当患者数
-
重症患者割合
を継続的に把握・管理しておくことが重要となります。
まとめ
今回の改定では、月2回以上訪問診療を行う患者が一定数以上いる医療機関に対し、重症患者割合要件が新設されました。
また、要件を満たしていることを確認するための届出・実績管理も必要となります。
これにより、単に訪問回数の多さではなく、医療・介護ニーズの高い患者に対して継続的な在宅医療を提供しているかどうかが、これまで以上に重視される仕組みへと見直されています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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外来様式1の見直し
医療・介護の実態把握に資する項目へ見直し
2026年度診療報酬改定では、外来医療に関するデータ提出の質を向上させる観点から、外来様式1の記載項目が見直されました。
今回の改定では、活用度の低い項目や重複する項目を削除する一方で、認知症や介護保険、特定健康診査に関する項目が新たに追加されています。
削除される主な項目
今回の見直しにより、以下のような項目が削除されます。
身体情報・入院関連
-
身長
-
体重
-
入院の有無
-
入院時のICD-10コード
生活習慣病関連
-
脂質異常症の診断年月
-
リスク分類・LDLコレステロール
-
糖尿病の診断年月
-
HbA1c(血糖コントロール)
-
高血圧症の診断年月
-
血圧分類
-
リスク層
-
収縮期血圧
-
拡張期血圧
脳血管疾患・循環器疾患関連
-
脳卒中の初発の種類
-
脳卒中の発症(診断)年月
-
急性大動脈解離の有無
-
急性大動脈解離の発症年月
-
急性冠症候群の初発の種類
慢性疾患関連
-
慢性腎臓病の診断年月
-
高尿酸血症の有無
-
高尿酸血症の診断年月
-
尿酸値
喫煙関連
-
喫煙区分
-
1日の喫煙本数
-
喫煙年数
その他
-
糖尿病の慢性合併症(網膜症・腎症・神経障害)
-
NRS
-
ブリストルスケール
-
褥瘡の状態
-
がんステージ分類
-
TNM分類
-
新設される項目
一方で、患者の医療・介護の状況を把握するため、以下の項目が追加されます。
認知症・介護関連
-
認知症の有無
-
介護保険制度における主治医意見書作成の有無
健診関連
-
特定健康診査の受診の有無
-
特定健康診査の受診日
在宅医療関連
-
別表第8の3に掲げる患者の状態
改定のポイント
今回の見直しでは、生活習慣病や検査値などの詳細なデータ項目を整理する一方で、
-
認知症の有無
-
介護保険との関わり
-
特定健診の受診状況
-
在宅医療における重症度等
といった、患者の医療・介護ニーズを把握するための項目が重視されています。
まとめ
外来様式1の見直しでは、多数の既存項目が削除される一方で、
-
認知症
-
介護保険
-
特定健康診査
-
在宅医療における患者状態
に関する項目が新設されました。
今回の改定は、患者の疾病情報だけでなく、医療と介護を含めた実態把握を重視する方向へデータ提出の内容を見直すものとなっています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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外来医師過多区域に関する対応
地域医療への協力を促すため診療報酬上の要件を見直し
2026年度診療報酬改定では、医師の地域偏在対策を推進する観点から、外来医師過多区域における診療報酬上の取扱いが見直されました。
今回の改定では、地域で不足している医療機能等に係る医療提供の要請に応じず、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付された医療機関について、特定の加算の算定や在宅療養支援診療所の届出を認めないこととされました。
改定の背景
医療法では、外来医師が過剰な地域のうち、特に地域外来医療を確保する必要がある区域について、「外来医師過多区域」として指定できる仕組みが設けられています。
こうした区域で新たに開設する医療機関に対しては、夜間休日診療や在宅医療など、地域で不足している医療機能の提供が求められます。
また、都道府県知事は、正当な理由なく要請に応じない場合、地域外来医療の提供を行うよう要請することができるとされています。
改定内容
今回の改定では、以下に該当する医療機関は施設基準を満たさないこととされました。
対象となる医療機関
健康保険法第68条の2第1項の規定により、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付された診療所です。
算定・届出ができなくなる項目
対象となる医療機関については、以下の算定・届出が認められません。
機能強化加算
施設基準に、「3年以内の期限が付された指定を受けた診療所以外の保険医療機関であること」が追加されました。
同様の取扱いとなる項目
-
地域包括診療加算
-
地域包括診療料
-
小児かかりつけ診療料
-
在宅療養支援診療所
についても同様の取扱いとなります。
まとめ
今回の改定では、外来医師過多区域において地域で不足する医療機能の確保を促進するため、
-
地域医療への協力要請に応じない医療機関
-
保険医療機関の指定に3年以内の期限が付された診療所
に対し、
-
機能強化加算
-
地域包括診療加算
-
地域包括診療料
-
小児かかりつけ診療料
の算定及び、在宅療養支援診療所の届出を認めないこととされました。
今回の見直しは、診療報酬を通じて地域医療への参画を促し、医師の地域偏在の是正につなげることを目的とした改定となっています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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協力医療機関が施設と行うカンファレンス等に係る施設基準の見直し
ICTを活用した情報共有を評価し、カンファレンス頻度を見直し
2026年度診療報酬改定では、協力対象施設入所者入院加算及び介護保険施設等連携往診加算における施設基準が見直されました。
今回の改定では、有機的な連携体制を維持しながら業務効率化を図る観点から、協力医療機関と介護保険施設等が実施するカンファレンスの頻度が見直されています。
改定のポイント
施設基準では、ICTによる情報共有の実施状況に応じてカンファレンスの実施頻度が定められています。
ICTによる情報共有を実施している場合
以下の要件を満たしている場合は、
-
介護保険施設等から協力医療機関へ、入所者の診療情報や病状急変時の対応方針等が適切に提供されていること
-
ICTを活用して、それらの情報を常時確認できる体制を有していること
を前提として、年1回以上のカンファレンス実施で施設基準を満たすこととなりました。
また、カンファレンスでは、入所者の診療情報や急変時の対応方針等の共有を行うこととされています。
ICTによる情報共有を実施していない場合
ICTによる情報共有体制を構築していない場合は、介護保険施設等の入所者の病状急変時等における対応方針の共有を図るため、年3回以上のカンファレンス実施が必要となります。
例外的な取扱い
ICTによる情報共有を実施していない場合であっても、当該介護保険施設等の入所者の入院を年間2件以上受け入れ、その都度適切な情報共有が行われている場合には、カンファレンスの実施頻度は年1回以上でよいとされています。
まとめ
今回の改定では、協力医療機関と介護保険施設等の連携を維持しつつ業務効率化を図るため、カンファレンスの実施頻度が見直されました。
-
ICTによる情報共有を実施している場合:年1回以上
-
ICTによる情報共有を実施していない場合:原則年3回以上
-
年間2件以上の入院受入れと適切な情報共有を行っている場合:年1回以上
と整理され、ICTを活用した継続的な情報共有体制がより重視される内容となっています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅医療情報連携加算の見直し
使用可能なICTの要件等を明確化
2026年度診療報酬改定では、適切な情報連携体制を整備する観点から、在宅医療情報連携加算において使用するICTの要件が明確化されました。
これまでの施設基準では、「連携機関とICTを用いて情報を共有し、常に確認できる体制を有していること」とされていましたが、今回の改定では、そのICTが満たすべき具体的な要件が新たに示されています。
新たに明確化されたICTの要件
ICTによる情報共有体制は、以下のすべての要件を満たす必要があります。
① 情報の一元管理
患者の診療情報等は、連携機関間の協議に基づき、一元的に管理されたサーバーで保管されていること。
② 患者の同意に基づく情報共有
診療情報等は、
-
患者
-
家族
-
連携機関
のうち、患者が同意した者に限り共有される仕組みであること。
③ 参加者の範囲を設定可能
情報共有に参加する者の範囲を随時設定できること。また、情報の内容に応じて共有範囲を設定できるICTの利用が望ましいとされています。
④ 常時閲覧・取得が可能
参加者が必要な時に情報を閲覧・取得できること。さらに、患者ごとに時系列で情報を確認できるICTを使用することとされています。
⑤ 必要な診療情報を常時共有
連携機関間で必要な診療情報を常時共有できること。また、文字情報だけでなく、画像や映像を共有できる機能を有するICTの利用が望ましいとされています。
⑥ 情報セキュリティへの対応
ICT体制の整備にあたっては、
-
HISPROが公表する「医療情報連携においてSNSを利用する際に気を付けるべき事項」
-
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
を参考にすることとされました。
地域全体での情報連携を推進
改定後は、連携機関以外の保険医療機関等がICTを用いた情報共有体制への参加を希望した場合には、関係者間で定めた取り決めに基づき連携体制を構築することとされました。
また、地域内で複数の情報共有体制が乱立しないよう、地域で同一の連携体制を構築することが望ましいとされています。
まとめ
今回の改定では、在宅医療情報連携加算において使用するICTについて、
-
情報の一元管理
-
患者同意に基づく情報共有
-
参加者管理
-
常時閲覧可能な仕組み
-
セキュリティ対策
などの要件が明確化されました。
また、地域全体で効率的な情報共有を進めるため、ICTを活用した連携体制への参加や地域共通の連携基盤の構築も求められています。
この改定は、在宅医療に関わる医療機関・訪問看護ステーション・薬局等が、より安全かつ円滑に患者情報を共有できる体制整備を促進する内容となっています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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へき地診療所における在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の見直し
へき地における在宅医療提供体制の確保を目的に要件を見直し
2026年度診療報酬改定では、へき地における在宅医療の提供体制を確保する観点から、へき地診療所における在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の施設基準が見直されました。
改定の背景
現行の在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料では、
-
在宅医療を担当する常勤医師が勤務していること
-
継続的に訪問診療等を行うことができる体制を確保していること
が施設基準として求められています。
しかし、へき地では医師確保が難しく、24時間の在宅医療提供体制を維持することが課題となっていました。
改定内容
今回の改定では、へき地診療所に限り、一定の条件を満たす場合には常勤医師でなくても施設基準を満たすことができるよう見直されました。対象となるのは、「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)に規定するへき地診療所です。
常勤医師要件の緩和
改定後は、在宅医療を担当する医師が、
-
当該へき地診療所と連携するへき地医療拠点病院
-
医療提供機能連携確保加算を算定する別の保険医療機関
にも勤務しており、かつ、
-
緊急時の連絡体制
-
24時間診療体制
の確保に関与している場合には、当該医師は常勤でなくても差し支えないこととされました。
在宅時医学総合管理料等の算定が可能に
今回の見直しにより、在宅患者の時間外対応体制について、医師の派遣元である保険医療機関が対応を担うことで24時間体制を確保している場合には、
-
在宅時医学総合管理料
-
施設入居時等医学総合管理料
の算定が可能となります。
まとめ
今回の改定では、へき地における在宅医療提供体制を維持・確保するため、在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の施設基準が見直されました。
へき地診療所においては、連携するへき地医療拠点病院等と協力して緊急時対応や24時間診療体制を確保している場合、在宅医療を担当する医師の常勤要件が緩和され、在宅時医学総合管理料等の算定が可能となります。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅療養支援診療所・病院の見直し③
業務継続計画(BCP)の策定を要件化、看取り数等の報告要件を削除
2026年度診療報酬改定では、災害時における在宅患者への診療体制を確保する観点から、在宅療養支援診療所・病院の施設基準に業務継続計画(BCP)の策定及び定期的な見直しが追加されました。
また、業務の簡素化を図る観点から、在宅看取り数及び地域ケア会議等への出席状況に関する報告要件が削除されました。
業務継続計画(BCP)の策定が新たな施設基準に
これまで在宅療養支援診療所・病院の施設基準にはBCPに関する規定はありませんでしたが、改定後は新たな施設基準として追加されます。
具体的には、
-
「BCP策定の手引き」(厚生労働省在宅医療の災害時における医療提供体制強化支援事業専門家委員会作成)等を参考にすること
-
医療機関の実情に応じた業務継続計画を策定すること
-
計画に基づき必要な措置を講じること
-
定期的に見直しを行い、必要に応じて計画を変更すること
が求められます。
BCPに求められる目的
業務継続計画は、災害等の発生時において、
-
在宅患者に対する医療提供を継続的に実施すること
-
非常時の体制で早期の業務再開を図ること
-
患者及び職員の安全を確保すること
を目的として策定することとされています。
看取り数等の報告要件を削除
一方で、業務の簡素化を図る観点から、これまで施設基準として求められていた
-
在宅看取り数
-
地域ケア会議等への出席状況
について、年1回、様式11の3を用いて地方厚生(支)局長へ報告する要件は削除されます。
まとめ
今回の改定では、在宅療養支援診療所・病院に対し、
-
業務継続計画(BCP)の策定
-
BCPの定期的な見直し
が新たな施設基準として追加されました。また、事務負担軽減の観点から、
-
在宅看取り数
-
地域ケア会議等への出席状況
に関する年次報告要件は削除されています。
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2026年度診療報酬改定対応 在宅医療クリニック用BCPマニュアル無料ダウンロード
在宅療養支援診療所・病院の見直し②
第三者による連絡体制・往診体制代行に係る要件の明確化
2026年度診療報酬改定では、在宅療養支援診療所・病院が第三者(株式会社等)を利用して24時間連絡体制や往診体制を確保する場合の要件が明確化されました。
24時間連絡体制
改定前から、24時間連絡を受ける担当者や連絡先を患者・家族へ説明し、文書で提供することが求められていました。
今回の改定では、患者・家族へ提供する連絡先をコールセンター等が担う場合について、
-
コールセンター等を利用していることを患者・家族へ事前に説明すること
-
医療機関がコールセンター等からの連絡を24時間受けられる体制を確保すること
が明確化されました。
24時間往診体制
24時間往診体制については、往診担当医の氏名や担当日等を患者・家族へ文書で提供することが求められています。
また、やむを得ない事情により、患者へ事前に氏名を提供していない医師が往診する場合であっても、
-
往診日以前に当該医療機関の在宅医療を担当する常勤医師と事前に面談していること
-
診療方針等の共有を行っていること
が必要とされました。
これらの要件を満たさない医師による往診は、「24時間往診体制を確保している」とは認められません。
さらに、患者へ事前に氏名を提供していない往診医による往診体制を確保している場合は、当該医師は常時1人以下であることとされています。
まとめ
今回の改定では、第三者による24時間連絡体制・往診体制の利用自体を制限するのではなく、
-
コールセンター利用時の説明義務
-
医療機関が24時間連絡を受ける体制の確保
-
未周知の往診医に対する事前面談・診療方針共有
-
未周知の往診医を常時1人以下とすること
などの要件が明確化されました。
これにより、第三者サービスを活用する場合であっても、患者が安心して在宅療養を継続できる体制の確保が求められています。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅療養支援診療所・病院の見直し①
連携型機能強化型在宅療養支援診療所の評価体系を見直し
2026年度診療報酬改定では、地域の24時間医療提供体制を支える医療機関をより適切に評価する観点から、連携型機能強化型在宅療養支援診療所の評価体系が見直されました。
これまで連携型機能強化型在宅療養支援診療所は一律の評価でしたが、改定後は施設基準に応じて「ア」「イ」の2区分に整理されます。
ア(より高い評価の対象となる施設)
「ア」に該当するためには、現行の連携型機能強化型在宅療養支援診療所の要件に加え、以下の体制を満たす必要があります。
① 24時間往診体制の確保
在宅支援連携体制を構築する他の保険医療機関と協力し、患者や家族からの求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保していること。
② 往診担当医の事前周知
往診を担当する医師の氏名や担当日等を、患者・家族へ文書で提供していること。
③ 平時から訪問診療を行う医師による時間外対応
当該医療機関において普段から訪問診療等を行う医師による連続24時間の往診体制を、月4回以上確保していること。
ここでいう「普段から訪問診療等を行う医師」には、
-
当該保険医療機関の医師
-
在宅支援連携体制を構築する連携先医療機関の医師
に加え、
往診担当日の前日以前から診療録を閲覧でき、必要に応じて訪問診療を行う医師と患者の診療方針等を共有している、当該保険医療機関からの往診経験を10回以上有する往診担当医師
も含まれます。
④ 未説明医師による往診体制の制限
患者へ事前に氏名を提供していない往診医による往診体制を確保する場合は、その医師を常時1人以下とすること。
イ(現行と同様の施設基準)
「イ」は、現行の連携型機能強化型在宅療養支援診療所の施設基準と同様の要件を満たす施設です。
評価の取扱い
今回の改定で最も大きな変更点は、機能強化型在宅療養支援診療所としての点数を算定できるのが「ア」のみとなることです。対象となるのは、
-
往診加算
-
在宅ターミナルケア加算
-
在宅時医学総合管理料
-
施設入居時等医学総合管理料
-
在宅がん医療総合診療料
です。
一方、「イ」に該当する場合は、機能強化型在宅療養支援診療所としてではなく、在宅療養支援診療所としての点数を算定する取扱いとなります。
また、「ア」の施設基準を満たすための連携先については、「ア」同士だけでなく、「イ」との連携も可能とされています。
まとめ
今回の改定では、連携型機能強化型在宅療養支援診療所について、「平時から訪問診療を行う医師による時間外往診体制を確保しているか」を重要な評価ポイントとして、「ア」と「イ」に区分されることになりました。
特に「ア」では、
-
月4回以上の連続24時間往診体制
-
往診担当医の事前周知
-
往診経験10回以上の担当医の活用
-
未説明医師の制限
などの要件が追加され、これらを満たした施設のみが機能強化型在宅療養支援診療所として評価されます。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
往診時医療情報連携加算の見直し
地域全体で支える24時間在宅医療体制をさらに推進
2026年度診療報酬改定では、往診時医療情報連携加算の施設基準が見直されました。
今回の改定は、地域における24時間の在宅医療提供体制を「面」として支える取組をさらに推進することを目的としており、加算の算定対象となる医療機関の範囲が拡大されています。
往診時医療情報連携加算とは
往診時医療情報連携加算は、在宅療養中の患者に対し、医療機関同士が患者情報を共有しながら往診を行う体制を評価する加算です。算定点数は200点となっています。
改定の背景
在宅医療を受ける患者の増加に伴い、夜間や休日を含めた24時間対応体制の確保が重要な課題となっています。
こうした中、厚生労働省は、「地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える取組をさらに推進する観点」から、往診時医療情報連携加算の見直しを行いました。
今回の改定で何が変わったのか
今回の改定では、往診時医療情報連携加算の施設基準が見直されました。
改定前
加算の対象となるのは、「在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院以外の保険医療機関」に対して行われる往診時の連携でした。
改定後
加算の対象は、「機能強化型以外の在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院」
にも拡大されました。
これにより、従来は対象外であった一部の在宅療養支援診療所・病院との連携についても評価されることになります。
イメージ図でみる改定内容
今回の改定では、被支援側の医療機関の範囲が拡大されています。
改定前
算定対象
-
在宅療養支援診療所・病院以外の医療機関
改定後
算定対象
-
在宅療養支援診療所・病院以外の医療機関
-
機能強化型以外の在宅療養支援診療所・病院
へと拡大されました。
今回の見直しのポイント
今回の改定は、加算点数の引上げではなく、「連携を評価する対象範囲の拡大」がポイントです。
単独の医療機関だけで24時間体制を維持するのではなく、地域の医療機関同士が連携しながら在宅患者を支える体制を評価する方向性が示されています。
まとめ
2026年度診療報酬改定では、往診時医療情報連携加算の施設基準が見直されました。
これまで対象外であった機能強化型以外の在宅療養支援診療所・病院との連携についても算定対象となり、地域における24時間在宅医療提供体制のさらなる強化が図られています。
今回の改定は、在宅医療を一つの医療機関だけで支えるのではなく、地域全体で支える仕組みを推進するための見直しといえるでしょう。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
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在宅医療充実体制加算の新設
重症患者や在宅看取りを支える医療機関への評価を大幅強化
2026年度診療報酬改定では、「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が廃止され、新たに 「在宅医療充実体制加算」 が創設されました。
今回の改定は、地域で重症患者や終末期患者を支える在宅医療機関をより適切に評価することを目的としており、従来の加算と比較して評価が大幅に引き上げられています。
在宅時医学総合管理料
単一建物診療患者数 改定前 改定後
1人 400点 800点
2~9人 200点 400点
10~19人 100点 200点
20~49人 85点 170点
50人以上 75点 150点
すべての区分で評価が2倍となりました。
施設入居時等医学総合管理料
単一建物診療患者数 改定前 改定後
1人 300点 600点
2~9人 150点 300点
10~19人 75点 150点
20~49人 63点 126点
50人以上 56点 112点
こちらも全区分で2倍の評価となっています。
その他の加算
-
緊急往診加算、夜間・休日往診加算、深夜往診加算
-
100点 → 200点
-
-
ターミナルケア加算
-
1,000点 → 2,000点
-
-
在宅がん医療総合診療料加算
-
150点 → 300点
-
と、大幅な引き上げが行われています。
算定するために必要な体制
在宅医療充実体制加算を算定するためには、「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うための十分な体制と実績」を有することが求められます。
① 充実した医師体制
まず、人員体制として以下の要件が必要です。
-
在宅医療を担当する医師が常勤換算3名以上
-
常勤医師が2名以上
-
機能強化型在支診・在支病であること
-
自院単独で24時間連絡体制と往診体制を確保していること
単なる連携ではなく、自院で24時間対応できる体制が求められています。
② 看取り・緩和ケアの実績
過去1年間で
-
緊急往診30件以上
-
看取り実績と小児在宅患者数の合計30件以上
が必要です。
機能強化型在支診の要件である緊急往診10件以上を大きく上回る水準となっており、地域で重症患者を積極的に受け入れている実績が求められます。
③ 緩和ケア体制
以下の要件も追加されています。
-
緩和ケア研修を修了した常勤医師が在宅医療を担当していること
-
オピオイド自己注射療法の実績が過去1年間で2件以上
または
-
過去に5件以上の経験を持つ医師が在籍
-
オピオイド投与実績が過去1年間で10件以上
であること。
さらに、
-
緩和ケア病棟または在宅で年間10件以上の看取り実績を有する医療機関で3か月以上勤務した常勤医師が、在宅医療を担当していることも求められます。
④ 重症患者への対応
在宅医療を提供している患者のうち、「別表第8の2」に該当する重症患者と終末期患者の合計が20%以上であることが必要です。
つまり、
-
末期悪性腫瘍
-
指定難病
-
在宅人工呼吸器管理
-
中心静脈栄養
-
気管切開管理
など、医療依存度の高い患者を一定割合以上受け入れていることが求められます。
⑤ 医師1人あたりの患者数制限
質の高い在宅医療を担保するため、訪問診療を担当する常勤換算医師1人あたりの患者数は100人以下でなければなりません。
患者数を増やすだけでなく、適切な診療密度を維持することが求められています。
⑥ ICTによる多職種連携
算定には「在宅医療情報連携加算」の届出が必要です。
医師だけでなく、
-
訪問看護ステーション
-
薬局
-
ケアマネジャー
-
介護事業所
との情報共有体制が重要になります。
⑦ 医師等の教育実績
過去2年度以内に、以下のいずれかの実績が必要です。
-
医学生の地域医療実習受入
-
研修医の受入
-
専攻医の受入
-
地域枠医師等の受入
など、在宅医療人材の育成に取り組んでいることも評価対象となっています。
今回の改定が示す方向性
今回の在宅医療充実体制加算は、「訪問件数が多い医療機関」ではなく、
-
重症患者を受け入れる
-
在宅看取りを支える
-
緩和ケアを提供する
-
24時間対応する
-
多職種と連携する
-
医師を育成する
といった役割を担う地域の中核的な在宅医療機関を評価する仕組みといえます。
まとめ
2026年度診療報酬改定では、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算が廃止され、新たに在宅医療充実体制加算が創設されました。
評価は従来の約2倍に引き上げられた一方で、
-
常勤換算医師3名以上
-
緊急往診30件以上
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看取り・小児在宅患者30件以上
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重症患者・終末期患者割合20%以上
-
医師1人当たり患者数100人以下
など、高い水準の体制整備と実績が求められています。
今回の改定は、「量」ではなく「質」を重視する在宅医療への転換を象徴する改定といえるでしょう。
令和8年度診療報酬改定 8. 質の高い在宅医療の推進
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。