2026年度診療報酬改定の動向
在宅医療の方向性を紐解いていきます。
中央社会保険医療協議会 総会(第646回)
【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑩】
⑩ へき地診療所における在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の見直しについての要約
1.基本的な考え方
医療資源が少ないへき地等において、在宅医療の提供体制を維持することは極めて困難である。
本改定では、都市部と同様の厳格な実績要件(看取り件数や重症患者割合など)をそのまま適用するのではなく、地域の実情に応じた柔軟な評価を行うことで、へき地診療所が在宅医療を継続できる環境を整備することを目的としている。
2.具体的な改定案の内容
-
施設基準の緩和・特例:
在医総管や施設総管の算定において、へき地診療所に限り、特定の重症患者実績や夜間対応体制の要件を緩和する特例措置の導入。 -
遠隔医療との連携評価:
医師が常駐しない地域や訪問に時間がかかる場所において、オンライン診療や遠隔モニタリング(厚生労働省)を活用した管理を、対面訪問と同様またはそれに準ずる形で評価する仕組みの検討。 -
兼務・応援体制の評価:
派遣元医療機関からの応援医師による往診や管理を、へき地診療所の実績として認めやすくする運用見直し。
3.現場への影響
-
提供体制の安定: 実績が少ないことで評価が下がる(減算される)リスクが軽減され、少ないスタッフでも在宅医療を継続しやすくなる。
-
ICT活用の推進: へき地ならではの「移動コスト」を削減するため、デジタル技術を活用した管理体制への移行が、収益面でも後押しされる。
まとめ
「地域の灯を消さないための柔軟化」。 効率や実績だけでは測れないへき地医療の特殊性を認め、管理料の要件を緩和・適正化することで、孤立しがちな地域の在宅ケアを支える。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑨】
⑨ 残薬対策に係る地域包括診療料等の見直しについての要約
1.基本的な考え方
多剤服用(ポリファーマシー)による医療費の増大や、副作用による健康被害を防ぐため、地域包括診療料等を算定する医療機関に対し、より実効性のある残薬管理を求める。
「処方して終わり」ではなく、継続的に手持ちの薬を確認し、処方量を調整するサイクルを評価の核に据える狙いがある。
2.具体的な改定案の内容
-
残薬確認の義務化・厳格化:
地域包括診療料や在宅時医学総合管理料等の算定要件として、診察時や訪問時の「残薬確認」をより明確に位置づける。 -
薬剤師との連携強化:
薬局薬剤師が把握した残薬情報を、医師が処方に反映させた実績(処方日数の調整等)をより重視する。 -
訪問看護師との連携強化:
訪問看護の実施に際し、残薬の有無や保管状況の確認し、主治医や担当薬剤師へ報告・連絡を行う。
-
医療DXの活用:
マイナ保険証の活用(厚生労働省)や電子処方箋を通じて、複数の医療機関から出ている重複投薬や残薬をリアルタイムに把握する体制を評価に組み込む。
3.現場への影響
-
診察・訪問プロセスの変化:
「お薬は余っていませんか?」という確認と、それに基づく処方日数の細かな調整が必須業務となる。 -
薬局とのフィードバックループ:
薬局からの「残薬調整報告」を受け、次回の処方箋に反映させる一連の流れをデータとして記録・管理する手間が増える可能性がある。 -
訪問看護指示書との連動:
医師からの指示書に、より具体的な服薬管理や残薬確認の要請が含まれるようになります。
まとめ
「残薬を放置しない医療」を評価の柱とし、医師と薬剤師・訪看看護師が連携して電子データ等も活用しながら、処方量を適正化する取り組みが厳格に求められる。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑧】
⑧ 医師と薬剤師の同時訪問の推進についての要約
1.基本的な考え方
在宅での薬物療法をより安全かつ効果的に行うためには、医師と薬剤師がリアルタイムで情報を共有することが重要である。
これまで、別々に訪問することが多かった両者が、あえて「同時に」訪問して連携することで、その場での処方調整や服薬指導を円滑にし、患者のQOL向上やポリファーマシー(多剤服用)の解消を図ることを目的としている。
2.具体的な改定案の内容
-
同時訪問の評価新設:
医師と薬剤師が同時に患者宅を訪問し、共同して指導等を行った場合における新たな加算や評価体系が整備される。 -
リアルタイムな連携:
訪問したその場で医師が薬剤師の専門的意見(残薬状況、副作用の有無、飲み合わせ等)を聞き、即座に処方内容に反映させる取り組みを推進する。
3.現場への影響
-
医療機関・薬局間の連携強化:
医師の訪問スケジュールと薬剤師のスケジュールを調整し、連携して動く体制が求められる。 -
処方の適正化:
その場で薬剤師が確認・提案できるため、処方変更がスムーズになり、より安全な薬物治療が可能になる。
まとめ
より質が高く安全な在宅薬物療法を提供するため、医師と薬剤師が同時に訪問し、連携して指導等を行うことを評価する仕組みが導入・推進される。
※補足:なぜこれが重要か
これまでは、医師が訪問して処方箋を出し、後日薬剤師が訪問して「あ、この薬は飲みづらいようです」と医師にフィードバックするという「時間差」がありました。
同時訪問が推進されることで、「その場(診察中)で薬剤師がアドバイスし、医師がその場で処方を直す」という、迅速かつ質の高いケアが可能になります。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑦】
⑦ 在宅療養指導管理材料加算の算定要件の見直しについての要約
1.基本的な考え方
患者ごとに適切な医療提供を推進する観点から、在宅療養指導管理材料加算の算定ルールを見直す。特定の医療材料の使用・管理実態に合わせ、より適切な評価が行われる体制作りを目指すものである。
2.具体的な改定案の内容
-
算定要件の統一
全ての在宅療養指導管理材料加算について、算定要件を「3月に3回」に統一する。
3.現場への影響
-
事務・請求業務への影響:
従来の「月1回」等の制限から「3ヶ月の期間内で合計3回まで」という管理に変わるため、レセプト請求時のカウント方法や、材料をまとめて渡す際の運用ルールを確認する必要がある。 -
実務上の留意点:
全ての材料加算が対象となるため、自院で算定している項目(インスリン自己注射、在宅酸素、処置用材料など)の算定漏れや重複がないよう、一律のルール変更として把握しておく必要がある。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑥】
⑥ 在宅時医学総合管理料等及び 在宅療養支援診療所等の見直しについての要約
1.基本的な考え方
本改定は、
①在宅医療における評価を「広範な患者を診ているか」から「医療負荷の高い重症患者を責任持って診ているか」へと明確にシフトさせることを目的としている。
-
従来の課題:患者の重症度や看取りへの関与度に関わらず、一定の点数が算定できてしまう課題があった。
-
見直しの方向性:今後は、「別表第八」に掲げられるような医療的ケアの必要な患者(人工呼吸器、中心静脈栄養など)や、在宅看取りの実績を、在宅医療の中核評価(在医総管・在支診)に直接反映させる。
②24時間対応における「説明と責任」の明確化
-
単にコールセンターを置くだけではなく、フローが義務化された。
2.具体的な改定案の内容
改定の核心
在宅時医学総合管理料等および在宅療養支援診療所等について、重症患者(別表第八相当)や在宅看取りへの対応実績を踏まえた評価体系へ見直す。
改定内容の整理
-
在宅時医学総合管理料(在医総管)等:
-
単なる訪問頻度ではなく、「看取り件数」や「医療的ケア患者の管理実績」に応じて点数にメリハリをつける方向。
-
-
在宅療養支援診療所(在支診)等:
-
施設基準の要件(24時間対応や看取り実績)がさらに厳格化され、「実際にどのような患者構成で、どの程度の負荷を担っているか」が問われるようになる。
-
-
24時間対応におけるフロー:
-
事前説明の徹底: 最初の連絡先がコールセンターである場合、患者・家族にその旨をあらかじめ説明し、同意を得ておく必要がある。
-
最終責任の所在: コールセンターはあくまで「中継役」であり、そこからの連絡を当該医療機関が24時間受け、最終的に医師が判断・対応する体制を確保しなければならない。
-
3.現場への影響
医療機関側の意味合い
-
データ提出の義務化:重症患者の実績を証明するため、今後、より詳細な診療情報や患者データを行政に提出・報告する体制が求められる。
-
経営的影響:重症患者や看取りを積極的に担わない医療機関は、今後、在宅医療クリニックとしての高い評価を維持できなくなる可能性が高い。
-
ICT・外部委託の適正化: 24時間対応をコールセンター等に委託する場合は、患者への事前説明と、医療機関側が即座にバックアップできる体制維持が厳格な要件となる。
実務上意識すべき点
-
患者構成の分析:自院の患者が「別表第八」に該当するかどうかを把握し、実績として整理しておく。
-
看取り実績の確保:地域との連携を強化し、在宅看取りへの関与を増やす戦略が必要となる。
全体まとめ
在宅医療の評価は、看板や形式ではなく、「別表第八の重症患者」や「在宅看取り」の実績に応じて、点数に明確な差がつく方向に厳格化される。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-⑤】
⑤ 在宅療養支援診療所・病院の見直しについての要約
1.基本的な考え方
在宅療養支援診療所・病院は、平時の訪問診療や看取りだけでなく、災害時においても医療提供を中断させない「レジリエンス(復旧力)」が強く求められている。
現行制度の課題:
-
能登半島地震等の教訓から、災害時の対応体制に不備がある医療機関の実態が顕在化。
-
災害への備えの有無にかかわらず評価が同一であり、「BCP(事業継続計画)」の策定や地域連携が十分に進んでいない。
今回の見直しでは、災害時対応を施設基準(算定要件)に組み込み、非常時でも重症患者を支えきれる医療機関を重点的に評価する。
2.具体的な改定案の内容
改定の核心
「事業継続計画(BCP)の策定」や「地域防災訓練への参画」を在支診等の施設基準(必須要件)として評価を見直す。
改定内容の整理
在宅療養支援診療所・病院において、以下の体制整備を評価・義務化の方向で整理する:
-
BCP(事業継続計画)の策定と運用:停電・通信障害時でも重症患者への訪問を継続できる具体策。
-
地域連携の実装:行政や医師会、他医療機関との災害時連絡網への参加。
-
医療DXの活用:災害時に患者の所在や医療機器(呼吸器等)の使用状況をリアルタイムで把握できるシステムの導入。
-
改定の意図
災害時の「医療の中断」は、特に人工呼吸器使用者や終末期患者にとって致命的となる。
そのため、単なる「計画の有無」ではなく、「実際に有事で機能する体制(面としての連携)」を持つ医療機関を制度上優遇し、地域全体の防災力を底上げする。
3.現場への影響
在宅療養支援診療所・病院側の意味合い
在支診・在支病としての点数を維持するためには、これまでの「看取り実績」に加え、BCPの策定が「算定要件(必須化)」へ格上げされる可能性が高い。
実務上意識すべき点
-
災害時マニュアルの整備:スタッフの安否確認から優先訪問順位の決定フローの作成。
-
地域防災計画への参画:自治体が実施する防災訓練への参加実績や、避難所との連携確認。
-
非常用電源・通信手段の確保:重症患者への連絡を維持するための衛星電話や蓄電池等の備え。
全体まとめ
「24時間の看取り体制」に加え、「災害時にも医療を止めないBCP体制」を在宅医療機関の必須評価(施設基準)として見直す。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-④】
④ 連携型機能強化型在宅療養支援診療所の見直しについての要約
1.基本的な考え方
本項目は、複数の診療所が連携して24時間体制を組む「連携型機能強化型在宅療養支援診療所」について、「夜間・休日の往診を自らの手で行っているか」という実態に基づき評価を厳格化することを目的としている。
現行制度(2024年度まで)の課題:
-
連携型(グループ)の形式をとっていれば、夜間の対応を外部の往診代行業者に委託していても高い点数が算定できていた。
-
「自ら汗をかいて24時間支えている医師」と「夜間を外注している医師」の評価に差がなかった。
今回の改定では、「自ら実際に医療提供体制(往診体制)を確保している時間」に応じて、報酬に明確な差をつける方向性が示されている。
2.具体的な改定案内容
改定の核心
「平時から訪問診療を行っている医師(自院・連携グループの医師)」が自ら往診体制を確保しているかで評価を分ける。
改定内容の整理
連携型機能強化型在宅療養支援診療所を以下の2区分に分離する:
-
【高評価】 平時の担当医(グループ内)により、時間外往診体制を確保している施設
-
【低評価】 それ以外の施設(夜間・休日の往診を外部委託等に依存している施設)
改定の意図(2026年度の狙い)
在宅医療の質の担保:
-
患者の病状を把握していない「代行医」ではなく、顔の見える「いつものグループの医師」による24時間対応を促す。
-
「24時間対応」という看板だけを掲げ、実務を外注するビジネスモデル(いわゆる「往診代行依存型」)の適正化。
3.現場への影響(整理)
連携型診療所側の意味合い
夜間・休日の往診実績のうち、「自院・連携先の医師が行った割合」が厳しく問われるようになる。外部委託がメインのクリニックは、機能強化型の点数が維持できなくなる可能性が高い。
実務上意識すべき点
-
勤務シフトの再構築:外部委託を減らし、グループ内の医師で交代制を維持できるか。
-
実績の可視化:誰が往診に行ったかの記録を、施設基準の維持のために厳格に管理する必要がある。
全体まとめ
「夜間の往診を外部に丸投げせず、自分たち(連携グループ)で責任を持って診ている医療機関」を重点的に評価する。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-②】
② 往診時医療情報連携加算の見直しについての要約
1.基本的な考え方
本制度は、重症患者の訪問診療や在宅看取り等を担う医療機関の取組を、より柔軟かつ実態に即して評価することを目的としている。
2024年度(令和6年度)の改定により、連携の相手方(被支援側)が「機能強化型」の在支診・病院である必要がなくなり、小規模な診療所(主治医)を地域の拠点が支える仕組みが評価対象となった。
2026年度(令和8年度)に向けた議論では、この「面(地域全体)」で支える取組をさらに推進するため、実態に即した要件の整理・緩和が検討されている。
2.具体的な改定案の内容
改定のポイント
被支援側が「機能強化型の在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院以外」である場合においても、往診時医療情報連携加算を算定可能(※2024年度より施行済み)
制度の整理
往診時医療情報連携加算について、2024年度より算定要件が拡大された。
これにより、支援側の医療機関は、被支援側の医療機関が以下の区分であっても加算を算定できる。
-
機能強化型ではない、一般的な在宅療養支援診療所
-
機能強化型ではない、一般的な在宅療養支援病院
※2026年度改定では、この連携の輪をさらに広げ、ICT活用のハードルを実態に合わせて調整する方向で検討が進んでいる。
改定の意図
地域における在宅医療は、必ずしも大規模なグループ(機能強化型)内だけで完結しているわけではない。
実際には、
-
一人で訪問診療を行う「単独型在支診」
-
地域を支える「一般の在宅支援病院」
との連携を通じて、重症患者や看取りが支えられている。
こうした「地域全体で主治医を支える体制(面としての連携)」に、正当な報酬を与えることが狙いである。
3.現場への影響
医療機関側の意味合い
これまで「自院が機能強化型ではないから」「相手が強化型ではないから」と諦めていた連携ケースでも、ICT連携(電子連絡帳等)の体制を整えれば評価対象となる。
実務上のポイント
単に往診に行くだけでなく、
-
事前の情報共有(ICT活用・カンファレンス)
-
緊急時の対応方針の合意
が算定の必須条件となる。
全体まとめ
主治医(被支援側)が機能強化型でなくても、ICTで連携した支援病院等が往診すれば評価される。
2026年度はこの「地域連携」をさらに使いやすく見直す。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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【Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価-①】
① 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の見直しについての要約
1.基本的な考え方(改定の趣旨)
本改定は、地域において重症患者や終末期患者に対し、訪問診療・在宅看取り・緩和ケアを積極的に担う医療機関を、より実態に即して評価することを目的としている。
これまでの評価では、
-
在宅緩和ケアを名乗っていても実際の対応実績や役割に差がある
-
地域で本当に負荷の高い患者を支えている医療機関が十分に評価されていない
といった課題が指摘されてきた。
今回の見直しでは、「体制があるか」ではなく「実際に何を担っているか」に重きを置き、在宅緩和ケアの中核を担う診療所・病院を明確に評価する方向へ整理されている。
2.具体的な改定案内容
改定案1:在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の評価要件を実績重視に見直し
改定内容の要点
-
在宅緩和ケア充実診療所・病院加算について、算定要件や評価の在り方を見直す
-
特に、
-
重症患者への対応
-
在宅での看取り
-
緩和ケアの提供実績
といった実際の診療内容・役割を踏まえた評価に重点を置く
-
改定の狙い
-
名称上の「緩和ケア」ではなく、地域で本当に在宅緩和ケアを担っている医療機関を評価
-
看取りや重症対応を避けがちな運用との差別化
-
地域包括ケアシステムの中で、在宅で最期まで支える医療体制の強化
現場への影響
-
在宅緩和ケア加算を算定している医療機関は、実績・対応内容の再点検が必要
-
今後は、
-
看取り件数
-
重症患者対応の体制・実態
がより重視される可能性が高い
-
-
「加算は取っているが、実質的な緩和ケアは限定的」な医療機関は評価されにくくなる方向
改定案2:地域で重症患者・在宅看取りを担う医療機関を重点的に評価
改定内容の要点
-
地域において、
-
重症患者の訪問診療
-
在宅での看取り
を積極的に担っている医療機関を評価対象として明確化
-
-
単なる在宅医療の実施ではなく、負荷の高い役割を引き受けているかどうかを重視
改定の狙い
-
在宅医療の中でも、特に人手・時間・精神的負担の大きい領域を担う医療機関を支える
-
病院完結型医療から、在宅完結型医療・看取りへの移行を後押し
現場への影響
-
在宅緩和ケアを本気で担っている診療所・病院にとっては追い風となる改定
-
一方で、
-
看取り対応が限定的
-
夜間・緊急対応が弱い
といった体制のままでは、評価の対象から外れる可能性
-
全体まとめ
この見直しは、
-
【Ⅱ-5】で整理された訪問看護・在宅医療の質・連携の引き締め
-
その中で、「重症患者・終末期を誰が支えるのか」を明確にする評価
という位置づけ。
つまり、在宅医療を“広くやる”だけではなく、“最も難しい部分を担う医療機関を、きちんと評価する”
というメッセージ性の強い改定と整理できる。
■ 中医協議事録
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【Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-③】
③保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直しについての要約
1.基本的な考え方(改定の趣旨)
本改定は、
健康保険事業の健全な運営を確保することを目的としている。
特に、
-
医療機関が、特定の訪問看護ステーション等を利用するよう指示・誘導する行為
-
その見返りとして、金品その他の財産上の利益を受け取る行為
について、これまで明確な禁止規定がなかった点を踏まえ、療養担当規則において明示的に禁止する規定を新設する。
▼
改定案2では「訪問看護事業者側」を、改定案3では「医療機関側」を縛る構造。
2.具体的な改定案内容
改定案1:特定の訪問看護ステーション等の利用指示と引き換えの利益収受を禁止
改定内容の要点
保険医療機関は、以下のサービスを提供する事業者等を「利用すべき旨の指示等」を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならないとする規定を新設。
【対象となるサービス】
-
指定訪問看護
-
指定介護予防訪問看護
-
指定特定施設入居者生活介護
-
指定介護予防特定施設入居者生活介護
-
指定認知症対応型共同生活介護
-
指定地域密着型特定施設入居者生活介護 等
(※在宅医療・介護に密接に関係するサービスが広く対象)
改定の狙い
-
医療機関と事業者間の紹介・誘導をめぐる不透明な金銭関係の排除
-
利用者の選択が、経済的な裏取引によって歪められることの防止
現場への影響
-
「紹介料」「業務委託費」「コンサル料」などの名目であっても、実質的に対償関係と判断されれば違反となり得る
-
医療機関・訪問看護ステーション双方において、契約関係・金銭の流れの説明責任が増す
改定案2:禁止規定を「療養担当規則」に位置付けることの意味
改定内容の要点
-
今回の禁止は、
-
通知レベル
-
指導要領レベル
ではなく、
-
-
療養担当規則(法令に準ずる位置付け)に明記
される点が重要。
改定の狙い
-
行政指導にとどまらず、
-
個別指導
-
監査
-
返還・処分
につながる明確な法的根拠を持たせる
-
-
グレーゾーン運用を
制度的に許容しない姿勢の明確化
現場への影響
-
「昔からやっている」「業界慣行」という言い訳は通用しにくい
-
医療機関側が主導する囲い込み型の在宅医療連携は再設計が必要
全体まとめ
今回の保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直しは、
-
① 訪問看護の中身・記録・質
-
② 訪問看護事業者の運営・ガバナンス
-
③ 医療機関側の誘導・利益供与の遮断
という三層構造で、在宅医療・訪問看護を巡る「不適切な関係性」を制度的に断ち切る改定と整理できる。
とくに③は、②とセットで初めて効力を発揮する「両側からの締め付け」改定と言える。
■ 中医協議事録
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【Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-②】
②指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直しについての要約
1.基本的な考え方(改定案の趣旨)
本改定は、訪問看護事業者による不適切な運営・請求・誘導行為等を防止し、制度全体の信頼性を確保することを目的としている。
具体的には、
-
指定訪問看護事業者に対し適正な手続・請求・運営を行う責務を明確化
-
事故発生時の対応や記録管理など安全管理・ガバナンス体制を制度上明示
するため、
「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」そのものに新たな義務規定を追加する。
▼
診療報酬上の対応ではなく、「基準省令」レベルでの引き締めが特徴。
2.具体的な改定案の内容
改定案1:指定訪問看護事業者に「適正な手続きの確保等」を義務付け
改定内容の要点
指定訪問看護事業者に対し、以下の事項を明確に義務化する。
-
適正な手続きの確保
-
申請・届出
-
訪問看護療養費の請求
を適正に行う義務を明文化
-
-
健康保険事業の健全な運営の確保
-
制度趣旨を踏まえた適切な運営を求める規定を新設
-
-
特定の主治医・事業者等への誘導の禁止
-
特定医療機関・特定事業者への恣意的な患者誘導を行うことを禁止
-
-
経済上の利益の提供による誘引の禁止
-
金品その他の経済的利益によって利用者や関係者を誘導する行為を禁止
-
改定の狙い
-
医療機関・訪問看護ステーション間の不透明な関係性や囲い込みの排除
-
不正請求・不当誘導を「やってはいけない行為」として基準上明確化
現場への影響
-
曖昧な慣行や「業界的にはよくある話」が明確にアウトになり得る
-
行政指導・指定取消の根拠条文として使われやすくなる
改定案2:事故発生時の対応及び安全管理体制の確保を義務化
改定内容の要点
-
利用者に対する訪問看護により事故が発生した場合、
-
保険者
-
利用者家族等
への連絡および必要な措置を講じることを義務付け
-
-
併せて、
-
指定訪問看護に係る安全管理体制の確保
を明文化
-
改定の狙い
-
事故発生時の隠蔽・場当たり対応の防止
-
小規模事業所であっても最低限のリスク管理体制を求める
現場への影響
-
安全管理マニュアルや連絡体制が形式だけでなく実態として求められる
-
「何かあったら管理者判断」だけでは不十分と評価される可能性
改定案3:訪問看護に関する記録整備・保存義務の明確化
改定内容の要点
-
以下の記録について、
-
正確かつ最新の内容を保つこと
-
完結の日から2年間保存
を義務付け
-
【明示された記録】
-
訪問看護記録書
-
訪問看護指示書
-
訪問看護計画書
-
訪問看護報告書
-
市町村等への情報提供書
-
市町村等との連絡調整記録
改定の狙い
-
記録不備による実態確認不能・検証不能状態の解消
-
指導監査時に確認すべき記録範囲を明確化
現場への影響
-
「あれば良い」ではなく「無ければ基準違反」
-
電子記録を含め、保存・更新ルールの整備が必須
-
全体まとめ
改定案1は「訪問看護の中身・質・記録の書き方」への是正
改定案2は「事業者としての在り方・運営姿勢」への是正
という関係。
両者を合わせて読むと、今回の改定は「個別ケアの質」と「事業運営の公正性」を同時に締め直す改定と整理できる。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
中央社会保険医療協議会 総会(第646回)
【Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-①】
① 適正な訪問看護の推進についての要約
1.基本的な考え方(改定案の趣旨)
本改定は、利用者の状態を適切に把握した上で、画一的・形式的ではない訪問看護を実現することを目的としている。
そのために、
-
訪問看護ステーションに義務付けられている「指定訪問看護の実施に係る記録書」
-
訪問看護の実施内容・時間・評価の記載方法
について、記載内容をより明確化し、実態に即した運用を担保する方向で見直しが行われる。
▼
「やっている体裁」ではなく、「適切に提供されたか」が記録から確認できることを重視する改定。
2.具体的な改定案の内容
改定案1:訪問看護は、利用者の状態に応じて妥当・適切に行うことを明確化
改定内容の要点
-
指定訪問看護は、
-
利用者の心身の状況等に応じて
-
妥当かつ適切に実施されるべきこと
-
を明記
-
漫然・画一的な訪問看護を行ってはならないことを明確化
-
実施にあたっては、
-
看護目標
-
訪問看護計画に沿って行うこと
-
を明文化
改定の狙い
-
定型的・回数消化型の訪問看護を抑制
-
利用者ごとの状態変化やニーズを踏まえた「個別性のある看護」を制度上も求める
現場への影響
-
訪問回数・内容が「これまで通り」では正当化されにくくなる
-
看護計画と実際のケア内容の整合性が、指導・監査でより重視される可能性が高い
改定案2:訪問看護記録書への「評価」と「実訪問時間」の記載を明確化
改定内容の要点
-
指定訪問看護の実施に係る記録書等について、
-
訪問看護の内容に対する評価の記載を求める
-
実際の訪問開始時刻・終了時刻を記載する必要があること
-
を明確化
改定の狙い
-
「何をしたか」だけでなく「その結果どうだったか」を記録に残させる
-
実態と乖離した訪問時間の記載を防止
-
診療報酬請求の透明性・検証可能性を高める
現場への影響
-
訪問ごとにケアの効果や利用者の反応など簡潔でも評価記載が必須
-
開始・終了時刻の管理が甘い事業所は記録体制の見直しが必要
-
不適切請求と疑われやすい運用への抑止効果
3.全体まとめ
今回の改定は、「訪問した事実」よりも「適切な看護が提供されたか」を重視する方向への転換。
-
個別性のない訪問
-
評価のない記録
-
実態と合わない訪問時間管理
こうした運用を制度的に是正するための、記録・計画・評価を軸とした引き締め改定と整理できる。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第646回、令和8年1月30日)
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第641回中央社会保険医療協議会 令和8年度診療報酬の基本方針
令和8年度 診療報酬改定の基本方針
令和8年度の診療報酬改定は、物価・賃金の上昇や人口減少、医療人材不足といった構造的課題に対応し、将来にわたり持続可能な医療提供体制を構築することを目的として実施されます。
1.改定の基本的な考え方
-
物価高騰・賃金上昇が続く中、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善が重要な課題
-
2040年頃を見据え、高齢化の進行と地域差に対応した医療提供体制の再構築が必要
-
医療DXやICT、AI等の活用による医療の質・効率・安全性の向上を推進
-
国民皆保険を維持するため、医療保険制度の安定性・持続可能性を確保
2.改定の重点テーマと方向性
(1)物価・賃金上昇、人手不足への対応
-
人件費、材料費、光熱費等の高騰を踏まえた評価の見直し
-
医療従事者の賃上げや人材確保につながる処遇改善
-
ICT・AIの活用、タスクシフト/シェアによる業務負担軽減
-
医師の働き方改革や診療報酬上の要件の柔軟化
(2)地域医療体制の再構築と在宅医療の推進
-
医療機関の機能分化・連携・集約化の推進
-
入院・外来・在宅医療・介護が連携する地域包括ケアシステムの強化
-
在宅医療、訪問看護、かかりつけ医・薬剤師機能の評価
-
医療資源の少ない地域への支援
(3)安心・安全で質の高い医療の推進
-
医療安全対策、身体拘束の最小化
-
アウトカム(治療結果)を重視した評価の導入
-
電子処方箋、オンライン診療など医療DXの推進
-
救急、がん、精神医療、小児・周産期医療等への重点評価
(4)医療保険制度の効率化・適正化
-
後発医薬品の使用促進、適正処方の推進
-
電子処方箋を活用した重複投薬・残薬対策
-
医療資源の効率的・重点的な配分による制度の持続性確保
3.今後に向けて
-
診療報酬だけでなく、補助金や制度改革を含めた総合的な支援策が必要
-
医療DXへの投資を通じ、業務負担軽減と医療の質向上を両立
-
国民にとって分かりやすい医療制度の実現と、納得感の向上を重視
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第641回、令和8年1月14日)議事録
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第639回中央社会保険医療協議会 診療報酬改定について
令和8年度 診療報酬改定の概要
令和8年度の診療報酬改定は、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善を重視しつつ、現役世代の保険料負担の抑制や医療提供体制の持続可能性を確保することを目的として実施されます。
1.診療報酬改定率
-
全体改定率:+3.09%(令和8・9年度の2年度平均)
-
令和8年度:+2.41%
-
令和9年度:+3.77%
-
-
施行時期:令和8年6月
2.主な改定のポイント
① 医療従事者の賃上げ支援
-
賃上げ分として+1.70%を確保
-
医療現場の生産性向上とあわせ、
-
医療従事者全体で年+3.2%相当のベースアップを支援
-
看護補助者・事務職員については年+5.7%相当を想定
-
-
対象職種を拡大し、幅広い医療関係職種での賃上げの実効性を確保
② 物価上昇への対応
-
物価対応分として+0.76%
-
病院・診療所・歯科・薬局など、施設類型ごとの費用構造に応じて配分
-
特に高度医療を担う病院(大学病院等)には特例的な加算措置
③ 入院時の食費・光熱水費への対応
-
食費:1食あたり40円引き上げ
-
光熱水費:1日あたり60円引き上げ
(低所得者や指定難病患者等には配慮措置あり)
④ 経営環境悪化への緊急対応
-
令和6年度改定以降の経営悪化を踏まえた緊急的な上乗せ措置(+0.44%)
⑤ 医療の効率化の推進
-
後発医薬品(ジェネリック)の使用促進
-
在宅医療・訪問看護の評価適正化
-
長期処方・リフィル処方の推進
3.薬価・材料価格の改定
-
薬価:▲0.86%
-
材料価格:▲0.01%
-
合計:▲0.87%
(薬価は令和8年4月施行)
4.制度面での主な見直し
-
経済・物価動向を踏まえた令和9年度以降の再調整の検討
-
賃上げが実際に給与へ反映されているかを確認する仕組みの強化
-
医師偏在対策として、医師過多地域での新規開業に対する診療報酬上の対応
-
医療法人の経営情報の「見える化」を進め、データに基づく制度設計を推進
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第639回、令和7年12月26日)議事録
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第627回中央社会保険医療協議会 在宅について(その4)
■ 課題と論点および次回診療報酬の推論
※薬局の改正は在宅医療クリニック運営に直結する部分もあるので掲載、歯科訪問診療については割愛
② 薬局における訪問薬剤管理指導
2-1 在宅薬学総合体制加算(麻薬備蓄・体制整備の不均質)
■ 課題
-
加算の届出薬局は増加したが、麻薬備蓄や在宅実績が不足している薬局が多い。
-
地域によって提供体制に差が大きい。
-
在宅の質を担保できていない。
■ 論点
-
本当に在宅対応できる薬局だけを評価する仕組みが必要。
-
体制基準(麻薬備蓄・24時間対応・訪問実績)をどう厳格化するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
真に在宅対応できる薬局に対し、在宅薬学総合体制加算の上位区分を創設。
-
麻薬備蓄・24時間対応薬局への 重点評価(点数増)。
2-2 在宅患者訪問薬剤管理指導料(6日ルール問題)
■ 課題
-
6日間隔要件により、患者都合で訪問日がずれると算定不可。
-
本来必要な訪問が報酬上評価されないケースが多い。
■ 論点
-
6日間隔の硬直性をどう見直すか?
-
患者の状態変化に応じた柔軟な訪問体系へ変更できるか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
6日ルール緩和(短期間でも算定可)。
-
状態急変・在宅移行直後の集中的訪問を評価する加算の新設。
2-3 重複投薬・相互作用防止(医師×薬剤師の同時訪問)
■ 課題
-
医師と薬剤師の同時訪問は高い減薬効果(ポリファーマシー是正) があるが、評価が弱い。
-
薬剤費が膨張しやすい高齢者で特に重要。
■ 論点
-
減薬・処方調整という「成果」を診療報酬でどう評価するか?
-
同時訪問の体制要件(ICT記録・事前共有)をどう設計するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
医師×薬剤師同時訪問加算(増点 or 新設)
-
減薬が実際に行われた場合の成果連動型加算(高点数) の創設。
2-4 精神科訪問薬剤管理(複数名訪問の評価不足)
■ 課題
-
精神疾患患者では複数名訪問が必要だが、現行評価では 薬剤師単独訪問が前提。
-
訪問看護では「複数名精神科訪問看護加算」があるのに薬局には類似評価がない。
■ 論点
-
精神科支援における複数名訪問の診療報酬上の扱いをどうするか?
-
多職種(薬剤師+看護師等)モデルの評価単価は?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
精神科複数名訪問薬剤管理加算(新設)。
2-5 24時間対応・地域連携の不足
■ 課題
-
訪問対応しているのに夜間・休日に連絡がつかない薬局が存在。
-
地域における薬局間連携が弱く、在宅医療の体制が脆弱。
■ 論点
-
地域薬局ネットワークの構築をどう促すか?
-
夜間・休日対応の体制を加算でどう評価するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
在宅薬局24時間連携加算(新設)
-
地域連携薬局・専門薬局の在宅領域の評価強化。
2-6 介護施設からの見返り要求(コンプライアンス問題)
■ 課題
-
介護施設から薬局へ金品要求の事例がある。
-
不適切な依頼が薬剤管理の公平性を損なう。
■ 論点
-
ガイドライン整備とコンプライアンス強化が必要。
-
診療報酬で“適切な関係”をどう担保するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
コンプライアンス遵守薬局の評価(新設可能性)
-
地域包括ケアの健全運営薬局の上位評価。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第627回、令和7年11月14日)議事録
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第626回中央社会保険医療協議会 在宅について(その3)
■ 課題と論点および次回診療報酬の推論
※訪問看護については在宅医療クリニック運営に直結する部分もあるため掲載
1.訪問診療・往診等について
①24時間対応体制(自院・在宅医同士の連携・民間委託)
■ 課題
-
医療機関同士のICT連携による24時間対応体制が一部地域では構築されているが、全国で見るとまだ多くが自院のみで負担している。
-
24時間対応の負担増から、民間のコールセンター、往診代行業者を利用するクリニックが増加。
しかし…
・患者が「誰が来るのか」事前に知らない
・医療的判断を誰が行うか不明瞭
・委託先との業務範囲・責任範囲が不明瞭
といった問題が中医協資料で指摘されている。
-
地域によって連携体制の質に大きな差があり、夜間・深夜の安全性にバラつきがある。
■ 論点
-
民間委託を利用する場合の「患者への説明」「委託先の資格」「責任範囲」をどう明確化するか?
-
ICTによる triage(初期判断)や医療機関同士の共同当番制を、制度としてどう評価・支援するか?
-
24時間対応において“形だけ”と“質の高い体制”の差をどう区別するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
民間委託を利用する場合、届出義務化・説明文書の標準化 により“曖昧な対応 → 無駄な往診・救急受診”の発生を抑制。
-
ICT triage(初期診断)で訪問自体を減らす方向に誘導。
-
夜間対応の無駄な重複体制を排除し、効率的な共同連携を促進。
-
ICT連携を実施して夜間体制を構築したクリニック に対して「24時間在宅管理料の上位区分(点数増)」が設定される可能性。
-
地域連携型24時間体制を実施している場合の新加算。
-
民間委託を使用する場合でも“質の高い管理体制(説明・記録・統括機能)”を満たせば 管理料に加算(上位評価) がつく方向。
②在宅患者共同診療料(後方支援・在宅医と病院の共同診療)
■ 課題
-
年間算定 14件 と機能しておらず、制度が“死に制度”化。
-
要件が厳しすぎて、往診を同伴、病院側の負担が大、記録・連携が煩雑。
-
実際には病院医師が電話やICTで助言する場面が多いのに、制度上評価されていない。
-
急変時にも、連携が弱いと不必要な救急搬送や入院につながり、医療費が膨らむ。
■ 論点(詳細)
-
遠隔支援(D to P with D / D to D)を診療報酬としてどこまで評価するか?
-
共同診療の要件を「対面前提」から「遠隔・ICT前提」へ転換すべきでは?
-
急変対応の質を高めて 高額医療(救急・入院)を抑制 する枠組みにどう変えるか?
■次回診療報酬改定の推論
-
「ICT併用共同診療加算(新設)」の可能性。
-
病院側が在宅医の診療をモニタリング・助言した場合に共同診療料の上位区分(点数増加)。
-
後方支援体制を届出した医療機関に対して在宅時医学総合管理料への加算の可能性。
③ 材料加算(在宅療養指導管理材料加算の複雑性)
■ 課題
-
種類により月1回算定、月に2回、3月に3回と算定ルールがバラバラ。
-
そのため「算定のために訪問回数を調整」 する歪んだ運用が発生。
-
月15万例で複数加算の併算定が生じており、制度として過度に複雑化している。
■ 論点
-
算定ルールを統一し、現場の事務負担を減らすべきでは?
-
複雑な医療材料を扱う患者への評価は別枠で残すべきでは?
-
診療頻度は医師の医学的判断に委ねるべきでは?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
算定頻度の統一(3ヶ月に3回) が最有力。
-
材料別の算定を包括化し、過剰算定を抑制。
-
訪問回数の歪んだ増加を抑えて医療費適正化。
-
在宅呼吸器・在宅IVH・気切・褥瘡重度など「医療材料の管理が高度なケース」を対象に上位材料管理加算(新設・点数アップ)
-
高難度症例に限っては月1回の上位評価を認める可能性。
④ 衛生材料・医療材料の提供ルール(企業→患者への直送)
■ 課題
-
現行ルールでは薬局経由が前提で、製造業者→患者宅の直送の可否が制度上不明確。
-
材料手渡しのために医師や看護師が訪問せざるを得ず、非効率な運用が多数発生。
-
トレーサビリティ(誰が渡したか)が曖昧になるケースもある。
■ 論点(詳細)
-
直送を制度的に認める条件をどう整えるか?
-
郵送料の扱い(保険?自費?医療機関負担?)
-
医師の指示書の形式・記録義務をどうするか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
直送解禁による訪問削減(材料渡し訪問の削減)。
-
トレーサビリティ義務化で誤提供・誤算定を防ぐ。
-
医師が材料の使用指示・管理指導を行った場合の在宅材料管理指示加算(新設)
-
高難度材料(IVHセット・褥瘡材料・ストマ管理等)は材料管理加算の上位区分(点数アップ)
⑤ 医師×薬剤師の同時訪問(減薬・残薬管理)
■ 課題
-
同時訪問で減薬率が高まり、ポリファーマシー改善に効果があることは明らか。
-
しかし制度で十分評価されておらず、現場では“実質ボランティア”状態に近い。
-
高齢者の薬剤過多が入院・転倒・せん妄を誘発し医療費増大の原因。
■ 論点
-
減薬の成果を診療報酬でどう評価するか?
-
同時訪問の記録・エビデンス(ICTログ)をどう扱うか?
-
医師主導か薬剤師主導かなど役割分担をどう整理するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
「医師+薬剤師 同時訪問加算(新設 or 大幅アップ)」
-
減薬の成果(処方数減少・残薬削減)があった場合の成果連動型加算(新しい概念)
-
ICTで薬歴共有を行った場合の加算上位区分。
⑥ ICT活用(情報連携・D to P with D/D to D)
■ 課題
-
情報共有が紙・電話中心で、誤情報・伝達漏れが頻発。
-
ICTの導入ステーション・医療機関に大きな格差。
-
D to P with D の仕組みが広がりつつあるが制度評価が十分ではない。
■ 論点
-
標準的な情報共有フォーマットをどう設定するか?
-
オンライン支援をどう評価するか?
-
安全性・セキュリティ要件をどう整えるか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
遠隔支援で不要な往診・専門医の出張を削減。
-
CT記録の標準化で誤診・二重対応を抑制。
-
往診時ICT情報連携加算の点数引上げ
-
遠隔支援を行った場合の ICT遠隔支援加算(新設)
-
情報共有標準フォーマットを満たした医療機関に上位評価(管理料アップ)。
⑦ 地域差の是正(都市部の過剰・過疎地の不足)
■ 課題
-
都心部で往診算定が過剰、過疎地で提供不足。
-
地域で提供量が大きく偏り、医療資源が適切に分配されていない。
■ 論点
-
過疎地への支援をどう具体化するか?
-
都市部の“濃すぎる”サービスをどう調整するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
都市部での細かな算定要件の見直し。
-
過剰地域での無駄な往診や過剰算定を抑制。
-
過疎地で訪問診療を実施する医療機関に地域包括加算(強化版)
-
訪問距離・訪問困難エリアに対する 距離加算・地域管理加算 の拡大。
2.訪問看護について
① 訪問看護の現状と利用者の増加(全世代・医療保険/介護保険)
■ 課題
-
利用者は医療保険・介護保険ともに大幅増(医療保険は平成13年の 4.3倍、介護保険は 11.7倍)
-
高齢者が中心だが、若年層(精神疾患・小児)が急増し、ケア内容が多様化。
-
医療保険と介護保険の優先順位・算定ルールが複雑で、医療機関・ケアマネとの調整負担が増加。
-
医療保険対象者(難病・末期がん・急性増悪など)と介護保険対象者の判断が分かりづらい。
■ 論点
-
利用者増加に合わせ、評価体系を疾患横断型(重症度・医療的ケア依存度)に再整理すべきか?
-
医療保険/介護保険の境界を分かりやすくし、主治医・看護師の事務負担を軽減すべきか?
-
特に小児・若年層の支援が増えている現状を踏まえ、新しい加算体系の構築が必要。
■ 次回診療報酬改定の推論
-
医療保険と介護保険の「二重構造」の整理
-
主治医判断の統一化(指示書様式の標準化)。
-
医療的ケア依存度の高い患者(難病・人工呼吸器・IVH等)を重点評価
-
小児・若年層の増加に伴い、小児訪問看護の上位区分(加算)を新設する可能性が高い。
② 精神科訪問看護(周産期・ひきこもり・未受診者・小児など複雑化)
■ 課題
-
精神科訪問看護のニーズが高い利用者(周産期、小児、ひきこもり、未受診者など)が増加。
-
多機関連携が必要だが、医療側、児童相談所、行政、家族などの連携が不十分で支援が継続困難になりがち。
-
現状の算定は加算の要件が極めて厳しく、カンファレンス義務が重く算定回数は実質0件に近い。
■ 論点
-
「精神科訪問看護の高度機能ステーション」を制度的にどう評価するか?
-
多機関連携(行政・児童相談所・精神保健センター等)をどのように診療報酬へ反映するか?
-
現場負担が大きすぎる要件(共同カンファレンス義務)をどう見直すか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
「精神科訪問看護・高度連携加算」(仮称)新設の可能性。
-
小児や周産期などハイリスク群に対する重点評価(高点数区分)
-
多機関連携を行った場合の連携加算の新設の可能性。
③ 難治性皮膚疾患への訪問看護(重症例の増加)
■ 課題
-
重症の難治性皮膚疾患に対して、訪問看護の介入が増加している。
-
皮膚管理・処置に看護技術が必要だが制度上は十分評価されていない。
-
処置時間・材料管理・患者教育の負担が大きい。
■ 論点
-
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を別表第8に追加すべきか?
-
看護師の専門性(褥瘡・皮膚ケア)の評価をどう高めるか?
-
医療材料の管理との整合性をどう取るか?
■次回診療報酬改定の推論
-
難治性皮膚疾患管理の新加算(高点数)
-
特定看護分野(WOC等)の専門性の評価強化。
④ 妊産婦・乳幼児への訪問看護(母子支援の明確化)
■ 課題
-
育児支援目的の訪問看護は診療報酬対象外だが、医療的ケアと育児支援がセットで必要なケースが多い。
-
現場で「育児支援はどこまで看護時間に含むか?」が曖昧で運用に差がある。
-
小児の医療的ケア児が増加し、専門看護師の不足が顕著。
■ 論点
-
育児支援を“医療的ケアの延長”としてどう明確化するか?
-
妊産婦・乳幼児看護の専門看護師の評価をどう取り入れるか?
-
頻回訪問の必要性に対し、現行点数が低い問題。
■ 次回診療報酬改定の推論
-
母子訪問看護加算(新設可能性高い)
-
育児支援を含む医療的ケア時間の明確化(算定可範囲拡大)。
⑤ ICT情報連携(訪問看護ステーションの連携強化)
■ 課題
-
訪問看護ステーションの 58.1% がICT連携を構築済みだが、連携に対する加算が存在しない。
-
多職種連携におけるICTは必須になっているが、負担に対する財政的補填がゼロ。
■ 論点
-
医師の在宅医療情報連携加算(2024新設)との整合性をどう取るか?
-
訪問看護ステーションが蓄積したデータを医学管理にどう活かすか?
-
連携ログ・セキュリティをどう標準化するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
-
多職種の調整時間削減 → 効率化による間接的な医療費抑制。
-
訪問看護ICT連携加算(新設濃厚)
-
定期カンファレンスのICT実施に対する評価強化。
⑥ 訪問看護指示書(郵送代・交付方法)
■ 課題
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郵送費を「医療機関が負担か?」「ステーション負担か?」が統一されていない。
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HPKIを使った電子交付が可能だが普及していない。
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指示書依頼・交付に事務負担が集中し、業務停滞につながっている。
■ 論点
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郵送代を誰が負担するか制度的に明確化すべき。
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電子交付の標準化(HPKI義務化の是非)。
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指示書管理の効率化と透明性をどう確保するか?
■ 次回診療報酬改定の推論
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指示書誤交付の防止で無駄な訪問削減。
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正式な電子交付体制を整えたステーションに「電子指示書管理加算(新設)」の可能性。
⑦ 安全管理体制(事故・インシデント対応)
■ 課題
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訪問看護の事故・インシデントは一定数発生している。
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医療安全研修は医療機関では義務だが、訪問看護ステーションでは義務ではない。
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利用者の医療依存度が上がる中、安全管理の質に格差がある。
■ 論点
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医療安全研修受講を義務化すべきか?
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安全管理のPDCAをどう標準化するか?
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実施状況を加算でどう評価するか?
■次回診療報酬改定の推論
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医療安全体制の標準化でミスによる二重対応を抑制。
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医療安全管理加算(新設)
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研修受講・安全管理体制を整備したステーションへ上位評価。
⑧ 記録の標準化(加算要件の明確化)
■ 課題
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訪問看護の記録は介護制度の要件が中心で、医療保険上は不十分な部分がある。
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記録量が多く看護師の負担が大きい。
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他職種間でデータ互換性が低いため、情報が伝わりにくい。
■ 論点
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医療保険向け記録の標準化をどう整備するか?
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介護記録との整合性をどう高めるか?
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ICT記録の義務化の可否。
■ 次回診療報酬改定の推論
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訪問看護記録管理加算(新設)
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ICT記録・標準フォーマット使用ステーションへの評価。
⑨ 過疎地域の訪問看護(移動負担の増大)
■ 課題
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特別地域訪問看護加算はあるが算定率は横ばい。
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移動時間が1時間以内でも、遠距離移動、長時間ケアが必要なケースが多い。
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都市部と過疎地で収益性に大きな差 → 人員確保が困難。
■ 論点
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過疎地域の訪問看護をどう維持するか?
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移動の負担をどう評価に反映するか?
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都市部の過剰供給とのバランスをどう取るか?
■ 次回診療報酬改定の推論
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地域包括型訪問看護加算(強化)
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移動距離・移動負担に対する「距離加算」拡大 の可能性。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第626回、令和7年11月12日)議事録
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。
第618回中央社会保険医療協議会 在宅について(その2)
■ 要点まとめ
1.訪問診療・往診等について
1-1 訪問診療・往診の提供体制等について
・地域で24時間の往診体制を「面」で確保するため、連携型在支診・在支病の評価を細分化。
・機能強化型在支診・在支病の中にはBCP(事業継続計画)を策定していない施設も多く、災害対応力の強化が課題。
・医療情報共有(往診時医療情報連携加算)の算定機会拡大も議論対象。
1-2 在宅医療において積極的役割を担う医療機関への評価について
・自宅死亡者数は10年で約2.5倍に増加。
・機能強化型在支診・在支病では、看取り・緊急往診・重症者対応・医育機能(研修医受入)などを担う例が多い。
・地域の中核を担う在宅医療機関をより明確に評価し、「在宅緩和ケア充実加算」との統合・整理が検討中。
1-3 患者の状態等に応じた適切な診療の評価について
・在宅時医学総合管理料・施設総管について、要介護度が低い患者も多く含まれており、実態と報酬の乖離が指摘。
・重症患者割合、紹介実績、看取り件数などを基に、「状態別の適正評価」を求める議論。
・在宅専門診療所(訪問2100回/月以上)と一般診療所で提供体制に格差がある。
1-4 へき地における在宅医療について
・医師派遣によって成り立つへき地診療所が多く、常勤医がいない施設も約70か所。
・時間外対応は派遣元病院が担っている場合が多い。
・現行では、常勤医不在だと在医総管・施設総管を算定できないため「派遣医対応でも算定可能とする」方向で検討。
1-5 訪問栄養食事指導について
・医療保険・介護保険ともに実施件数は10年前の約4倍だが、依然として実施率は低い(652回/月)。
・管理栄養士不足・退院直後の支援不足が顕著。
・今回の議論では、退院直後の医療機関による訪問栄養食事指導を評価対象に追加する案が提示。
2.訪問看護について
2-1 訪問看護・高齢者の住まいの現状
・高齢者住宅や有料老人ホームなど、医療ニーズの高い居住環境が増加。
・看護体制は地域差が大きく、医療依存度の高い患者への対応が偏在。
・在宅医療との情報共有や役割分担の明確化が求められる。
2-2 頻回な訪問看護の状況等について
・医療依存度が高い患者に対し、短期間での頻回訪問が増加。
・医療保険と介護保険の適用区分が複雑で、算定誤りや事務負担が生じている。
・頻回訪問の基準や報酬評価の見直しを検討中。
2-3 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について
・看護職員数や24時間体制要件の厳格さが小規模ステーションの参入障壁に。
・夜間・緊急対応の負担軽減策としてICT連携・遠隔支援の活用が議題に。
・事業基準の柔軟化と人材確保を両立させる方向で検討中。
■ 次回診療報酬改定の推論
1-1 訪問診療・往診の提供体制等について
・在支診・在支病の“地域連携評価”の段階化(Ⅰ〜Ⅲなど)
→ 機能強化型・連携型を含め、地域連携・情報共有・BCP体制などを要件別に評価。
・医療情報共有加算の再構築(ICT包括化)
→ 現行の複数加算を一本化し、「在宅医療DX加算(仮称)」として再評価される見込み。
・BCP策定・実施状況を要件化
→ 災害対応・感染対応を整備していない施設は段階的に算定不可となる方向。
1-2 在宅医療において積極的役割を担う医療機関への評価について
・“積極的役割を担う医療機関”の新加算創設(仮称:在宅中核医療機関加算)
→ 在宅緩和ケア・研修受入・24時間往診実績を総合評価。
・看取り・急変対応実績による段階評価化
→ 緊急往診件数・看取り件数・研修医受入などをスコア化し、報酬が変動。
・地域支援体制との連動強化
→ 医師会・医療計画との整合性を踏まえ、自治体単位での指定制導入の可能性。
1-3 患者の状態等に応じた適切な診療の評価について
・在医総管・施設総管の“重症度別評価”導入
→ 医療依存度(在宅酸素・胃瘻・褥瘡など)に応じてⅠ〜Ⅲ区分化される可能性。
・報酬の適正化(軽症者の評価引き下げ)
→ 医療区分の低い患者は包括評価または介護保険移行を促す方向。
・紹介実績や多職種連携の実績評価化
→ ケアマネ・訪問看護・薬剤師との情報連携実績が算定条件化の可能性。
1-4 へき地における在宅医療について
・常勤医要件の緩和(派遣医対応を算定可能に)
→ 医師派遣を受けて在宅診療を行う場合でも、一部算定を認める方向。
・地域医療維持目的の特例評価新設
→ 「へき地在宅医療支援加算(仮称)」として、派遣型診療への補助評価が導入される可能性。
・遠隔診療支援・情報連携の評価
→ D to P with D(専門医支援)の仕組みをへき地在宅医療にも適用。
1-5 訪問栄養食事指導について
・退院直後・在宅移行期の訪問栄養加算創設
→ 医療機関が退院時に継続的栄養支援を行う場合を評価。
・多職種連携加算化
→ 医師・薬剤師・管理栄養士が同行・情報共有した場合の加算新設。
・管理栄養士配置要件の緩和(地域連携方式)
→ 常勤配置が難しい診療所にも、地域栄養ケアステーション連携で算定可に。
2-1 訪問看護・高齢者の住まいの現状
・高齢者住宅向け訪問看護の明確化・包括評価化
→ 「集合住宅訪問看護管理加算(仮称)」として新評価の可能性。
・医療保険・介護保険の調整ルールの明確化
→ 二重算定を防ぐため、訪問回数と内容を基準化。
・住宅系施設の医療連携体制の見直し
→ 施設ごとに医療連携協定を義務付ける可能性。
2-2 頻回な訪問看護の状況等について
・頻回訪問加算の段階評価化(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)
→ 訪問回数・医療区分・緊急性を基準に細分化。
・医療・介護保険間の調整指針の明文化
→ 頻回訪問の判断基準を統一(医療依存度ベース)。
・ICT活用型の遠隔看護支援の評価
→ 「訪問+リモート管理」を組み合わせた新加算創設の可能性。
2-3 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について
・人員基準の柔軟化(共同運営・連携型ステーションの制度化)
→ 2〜3事業所連携で24時間対応要件を満たせる仕組みを検討中。
・夜間対応加算の分化・実績連動化
→ 夜間出動実績や常勤比率に応じた段階的報酬へ。
・ICT・AI活用型運営体制の新評価
→ 遠隔記録共有・AIリスク通知等を導入した事業所を重点評価。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第618回、令和7年10月1日)議事録
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第615回中央社会保険医療協議会 在宅について(その1)
■ 要点まとめ
1.在宅医療を取りまく状況について
・高齢化の進展により在宅医療需要は増加傾向。2040年をピークに患者数が最大化する見込み。
・第8次医療計画では「在宅医療に積極的役割を担う医療機関」の位置づけを強化。
・ICTを活用した医療・介護の情報共有(在宅医療情報連携加算、往診時医療情報連携加算など)が拡大。
・医師不足地域では、在宅医療の担い手確保が課題となっている。
2.訪問診療・往診について
・訪問診療・往診の需要が高まる中、質と量の両面での整備が求められる。
・D to P with D(専門医連携)の試行が進む。
・在宅療養支援診療所・病院による支援体制や、協力医療機関との連携評価が導入。
・ICTを活用した往診時医療情報連携加算が新設(算定数はまだ少数)。
3.訪問看護について
・訪問看護の利用率は高齢者ほど増加し、2040年頃にピークを迎える見通し。
・24時間対応体制加算の見直しにより、夜間・緊急訪問が増加。
・オンライン資格確認・請求が開始。
・一部の高額算定や回数設定の不適正事例が指摘され、指導体制を強化。
4.歯科訪問診療について
・高齢化とともに歯科訪問診療は増加しているが、提供機関は歯科診療所で2割未満、病院では1割未満にとどまる。
・要介護高齢者の推定需要に対して供給は約5割。
・2024年度改定で診療料区分を細分化し、後方支援を担う「在宅療養支援歯科病院」を新設。
5.訪問薬剤管理指導について
・薬局全体の約40%が在宅薬学総合体制加算を届出。実施件数は年々増加。
・麻薬調剤や無菌製剤、小児訪問対応など高度な薬学管理を求められる。
・約9割の薬局で夜間・休日対応体制を整備。
・無菌調剤やターミナル期対応など、体制整備が課題。
6.訪問栄養食事指導について
・訪問栄養食事指導は回数が少ないが、令和6年時点で平成24年比約4倍に増加。
・改定により、在支診・在支病で体制整備を要件化。
・非実施理由は「管理栄養士がいない」「院内業務が多忙」「対象患者が少ない」など。
■ 中医協議事録
出典:中央社会保険医療協議会 総会(第615回、令和7年8月27日)議事録
本ページ掲載に関する情報は、公開情報および当社独自の分析に基づく参考情報です。
記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、実際の改定内容や運用方針とは異なる場合があります。
ご利用にあたっては、最新の厚生労働省・中医協の公式資料をご確認ください。